2019 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブルスピンデバイスを用いた完全無電力IoTレジスタ・論理演算素子の創製
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19H00860
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
千葉 大地 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10505241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 光 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (20506258)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピントロニクス / フレキシブルスピントロニクス / メカニカルレジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、[1]シミュレーションと[2]デバイス作製を並行して進めた。 [1]マイクロマグネティックシミュレーションにより、ナノ磁性ドット列の形状・サイズ・配置を変更することにより、安定してビットシフトを実行可能なシフトレジスタの素子構造を探索した。その結果,二軸の引っ張り軸を利用することによりビットシフト動作させることのできる条件を明らかにするに至った。さらにこのシフトレジスタ素子と類似する素子構造を用いることにより、論理演算を実行するための素子の基本構造を考案した。 [2]デバイス作製については、フレキシブル基板上において、ボトム層を交換バイアスでピンする巨大磁気抵抗構造の膜構成の条件出しを行った。また、電子線リソグラフィを用い、これを100-300 nm程度のナノワイヤ状に加工し、同素子において巨大磁気抵抗効果が発現することを確認した。また、これに対し引っ張り試験を行い、ひずみによりトップのフリー層の磁化方向がひずみ方向に向きやすい性質があることを明らかにした。さらに、トップのフリー層だけを100-200 nm程度のナノドット群に加工するための電子線リソグラフィーの条件を探り、試行錯誤を繰り返した結果、所望のドット配列が得られる条件を見つけた。フレキシブル基板はSi基板に比べ、mm単位の広い視野でみるとやや波打っており、これにより電子線リソグラフィーの焦点合わせをこまめに素子ごとに行わねばならないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた①設計(1年目)に関して、マイクロマグネティックシミュレーションを用いることで、二軸の引っ張り軸を利用することによりビットシフト動作させることのできるシフトレジスタの素子構造ならびに動作する条件を明らかにした。また、③レジスタ動作実証(1~2年目)に関して、デバイス素子構造の最適化を行うことで、動作実証の手前の段階まで駒を進めることができただけでなく、高速動作する引っ張り試験器を設計・導入した。本システムは上部に十分な空間を有していることから操作プローブ顕微鏡を用いたアクセスが可能となっている。さらに、本年度は計画に先行して論理演算を実行するための基本素子構造の考案ならびにその一部の動作のシミュレーションを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,当初の研究計画に基づき,③素子のレジスタ動作実証を実施する。さらに、 ④論理演算素子実証を合わせて実施する。本年度はCOVID-19への対策に伴い、年度の前半はシミュレーションを用いた研究を主に実施する。特に論理演算に関する研究ならびにシフトレジスタと論理演算素子との融合に関する研究を前倒しして実施する。また、後半より、ナノワイヤ上にシミュレーションの結果を反映したフリー層のドット群を並べた構造を試作し、動作実証へと駒を進める。電子線リソグラフィーの焦点合わせの問題について、一つ一つの素子ごとに焦点を合わせる手間を省くためのノウハウを蓄積する予定である。
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