2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ab initio strong-field physics and attosecond science for molecules
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19H00869
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70344025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アト秒科学 / 高強度場物理 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
核のクーロンポテンシャルは核近傍で局所的に高い空間分解能を要求する。さらに核が動く場合、高分解能が必要な領域は時々刻々変化する。空間を一様に細かいメッシュで離散化しようとすると、多くの電子を含む分子ではその計算コストは現実的でない。この問題を解決し、我々がこれまでに開発してきた数値計算コードの応用範囲を分子に広げるため、原子核近傍での高い格子点密度と遠方での十分かつ低い格子点密度を同時に実現し、また原子核が動く場合にも拡張できる、複数の新たな柔軟かつ効率的な離散化を、数値計算コードに実装してきた。特に、 一般化曲線座標および擬ポテンシャルの導入、Adaptive mesh refinementの導入を進めてきた。2021年度は、引き続き、一般的な分子に対して高次高調波発生や光電子分光といった実験と定量的に比較できる第一原理計算を行うための基盤の整備を進めた。サイズ無矛盾性を特長とする時間依存最適化結合クラスター法の開発を進め、3重励起振幅を近似的に取り扱うことで計算量を減らす改良に成功した。また、キラル分子を対象とした拡張に着手し、キラルモデル分子に2重円偏光パルスを照射した場合に発生する高次高調波スペクトルの強度と偏光を計算した。従来の電気双極子近似を超えて磁気双極子、電子4重極子相互作用も取り込み、実験の状況に即して分子配向について積分をとっており、大きな発展である。また、自由電子レーザーを使った実験との比較を念頭においたシミュレーションに着手し、窒素分子に2波長極端紫外光パルスを照射した際に放出される光電子の角度分布を計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
キラルモデル分子に2重円偏光パルスを照射した際の高次高調波発生をシミュレーションできるようになった。従来の電気双極子近似を超えて磁気双極子、電子4重極子相互作用も取り込み、実験の状況に即して分子配向について積分をとっており、大きな発展である。
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Strategy for Future Research Activity |
全電子波動関数を「電子励起演算子の多項式の指数関数」で表現し分子軌道と励起振幅の両方を変分自由度とする時間依存最適化結合クラスター法において、計算コストを下げるTD-OCCD(T)法の定式化と数値検証を行う。また、イタリアのFERMI など自由電子レーザーを使った分子のイオン化のコヒーレント制御実験が行われているが、それとの比較を念頭におき、引き続き、分子のイオン化で放出される光電子の角度分解エネルギースペクトルを計算する。
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