2022 Fiscal Year Annual Research Report
Ab initio strong-field physics and attosecond science for molecules
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19H00869
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70344025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アト秒科学 / 高強度場物理 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
核のクーロンポテンシャルは核近傍で局所的に高い空間分解能を要求する。さらに核が動く場合、高分解能が必要な領域は時々刻々変化する。空間を一様に細か いメッシュで離散化しようとすると、多くの電子を含む分子ではその計算コストは現実的でない。この問題を解決し、我々がこれまでに開発してきた数値計算 コードの応用範囲を分子に広げるため、原子核近傍での高い格子点密度と遠方での十分かつ低い格子点密度を同時に実現し、また原子核が動く場合にも拡張でき る、複数の新たな柔軟かつ効率的な離散化を、数値計算コードに実装してきた。特に、一般化曲線座標および擬ポテンシャルの導入、Adaptive mesh refinement の導入を進めてきた。2022年度は、時間依存最適化結合クラスター(TD-OCC)フレームワークにおける新しい計算効率の高い近似方法を定式化した。このTD-OCCD(T)法は、基底状態電子構造理論における「ゴールドスタンダード」CCSD(T)法の時間依存、軌道最適化拡張版である。軌道関数と結合クラスター振幅の運動方程式を、4次Lagrangianを用いた実数値時間依存変分原理に基づいて導出した。TD-OCCD(T)法はsize-extensiveであり、ゲージ不変性があり、アクティブ軌道数Nに関してO(N^7)とスケーリングする。TD-OCCD(T)法を数値計算コードとして実装し、Kr原子からのトンネルイオン化および高次高調波発生に適用した結果を、我々が開発してきた他の第一原理計算手法による計算と比較したところ、良好なパフォーマンスが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
期間全体を通して、キラルモデル分子に2重円偏光パルスを照射した際の高次高調波発生をシミュレーションできるようになった。従来の電気双極子近似を超えて磁気双極子、電子4 重極子相互作用も取り込み、実験の状況に即して分子配向について積分をとっており、大きな発展である。また、計算コストの低い時間依存最適化結合クラスター法の近似を新たに導出、数値実装し、良好なパフォーマンスを得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
特異点がなく滑らかな近似ポテンシャルerfgauを用いた実時間第一原理計算の開発を進める。このポテンシャルは誤差関数とガウス関数を組み合わせた式でクーロンポ テンシャルを近似する。また、ニューラルネットワークを用いた実時間第一原理計算の可能性を検討する。
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