2022 Fiscal Year Annual Research Report
パルスラジオリシスによる基礎過程解明を通じたシンチレータ設計指針の確立
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19H00880
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 久明 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00334318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 真一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20511489)
室屋 裕佐 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40334320)
越水 正典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40374962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シンチレータ / 放射線 / パルスラジオリシス / 時間分解測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度には、有機系シンチレータを対象として研究を進めた。具体的には、有機蛍光体分子を1~2種類含有したプラスチックおよび液体シンチレータを試料とした。 プラスチックシンチレータとして対象としたものは、ポリスチレンをホストポリマーとしたものであり、蛍光体分子としては、第一溶質としてDPO、第二溶質としてPOPOPを添加したものを対象とした。ナノ秒における過渡吸収挙動の特徴として、数十ナノ秒以上で安定に存在する信号の存在が挙げられる。これは、一重項励起状態によりシンチレーションが生じる時間スケールを超えて観測され、DPOやPOPOPを添加した場合のみに観測されるものである。また、類似系での既報とのスペクトルの照合により、これらの分子の三重項励起状態からの吸収であると帰属される。この結果は、プラスチックシンチレータにおける三重項励起状態の顕著な残存を示している。 一方で、液体シンチレータとしては、トルエンやp-キシレンを溶媒とし、プラスチックシンチレータと同様に、DPOとPOPOPを添加した系を対象とした。この系においても同様に、DPOの三重項励起状態に帰属されるピークが見られた。プラスチックシンチレータと同様、液体シンチレータにおいても三重項励起状態が顕著に残存していた。また、プラスチックシンチレータの場合と比較し、カチオンおよびアニオン捕捉剤を系に溶質として添加することが容易であるため、これらを添加し、電荷移動の寄与を観測した。その結果、DPOのカチオンおよびアニオンに帰属される過渡吸収スペクトルが観測された。そのため、液体シンチレータにおける初期電離が溶媒で生じた後、溶媒中で再結合が生じた後に蛍光体へと励起エネルギー移動が生じる場合と、蛍光体分子への逐次電荷移動による再結合過程との双方がシンチレーションに寄与することが明らかとなった。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(24 results)