2020 Fiscal Year Annual Research Report
Liquid-crystalline nano space as novel reaction fields
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19H00902
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 健太郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40281589)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ空間 / 液晶 / 反応場 / 超分子 / 金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液晶の中に構築したナノ空間を利用した、今までに例を見ない反応場を構築する。我々は、カラムナー液晶性の大環状大環状化合物を作ることで、分子を内包できるナノ空間を液体の中に創り出すことに成功してきた。反応媒体として大環状カラムナー液晶のナノ空間を用いることは、液晶性ナノ空間に反応基質分子を集積・配向することを意味し、空間が規定する精密選択的合成への展開が期待できる。本研究では、この新しいナノ空間を最大限に活用し、様々な新しい反応と、それにより得られる機能物質構築を行うことを目的としている。令和2年度は、引き続き反応場となる液晶性大環状化合物のライブラリー拡張を行った。また、液晶性ナノ空間の動的なサイズを解明すると共に、ナノ空間内への特異的な機能性ゲスト分子の導入についての検討を行った。 流動性物質の中に、ナノ空間を保持することは、界面エネルギーの高さから難しいと考えられてきたため、動的に継続的なナノ空間が液晶中に形成されているか証明することが必要である。そこで、ガス分子をプローブとして詳細なNMRによる解析を行い、液晶中にナノ空間が継続的に存在することを明らかにした。 また、液晶性大環状化合物の化学修飾により、環内に水素結合ドナーとなる官能基を導入することで、特異的な分子認識をもとに、機能性金属錯体の導入に成功した。さらに、ナノポーラス液晶中でのイオン伝導性についての検討を行い、カチオン性有機分子の移動度の測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究構想は、液晶性のナノ空間の多様性の拡張、ナノ空間の特異性に根ざした新しい反応の創出・制御法の確立、反応と連動したソフトマテリアルとしての機能の創出の各段階を達成することにある。二年度目として、液晶性分子のデザインを拡張すること、これまで懸案とされてきた持続的なナノ空間の存在の証明が行えたこと、ナノ空間内での反応を目的とした特異的な機能性分子の内包に成功したことにより、予定通りに研究が進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
液晶が配向を制御できる液体である利点を活かし、機能性高分子のナノ空間内での重合反応によるソフトな導電性材料の創成、ナノ空間内での色素分子、磁性分子、触媒などの機能性分子の配向配列化による新規ソフトマテリアル構築を行う。
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Research Products
(12 results)