2020 Fiscal Year Annual Research Report
マルチ反応変換と組合せによる高分子の新規構造制御法の開発
Project/Area Number |
19H00910
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 浩太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70377810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子合成 / リビング重合 / クリック反応 / マルチ反応変換 / 高分子構造制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来重合反応における副反応の抑制に用いられてきた生長末端の安定なドーマント種を、複数の刺激を用いて解離し複数のマルチアクティブ種へ可逆変換するとともに、クリック反応など他の反応系と組み合わせることで、異種反応を経由して高分子を形成する新規な高分子構造制御法を開発・確立することを目的とした。具体的には、生長末端に従来のリビング重合のドーマント種を異なる複数の刺激で可逆的に活性化もしくはアジド基などへ化学変換することで、同一のドーマント種から炭素カチオンやアニオン、ラジカル、金属配位といった異種の重合もしくはクリック反応へと系内で可逆的に変換させる全く新しい重合概念の確立を目指している。とくに、マルチアクティブ種や異種反応での可逆的成長を制御することで、自在に高分子を設計できる革新的高分子精密合成を可能とするとともに、得られる従来未開拓の高分子材料についてその性質を明らかにするために検討を行った。 今年度は、リビングクリック重合の一般原理の確立及び適用範囲の拡大に注力して研究を行った。とくに、リビングクリック重合において、開始剤の効果を明らかにするとともに、種々のエステル型モノマー、特に長鎖スペーサーをもつモノマーへの適用可能性が示された。これにより従来のリビング重合とは異なり、繰り返し構造単位の分子鎖が長いモノマーの重合制御が可能であることが明らかになった。さらに、本重合系を糖鎖モノマーへの適用可能性も示され、さまざまな構造をもつ未開拓のポリマーの精密重合が期待された。以上のように、研究活動が大幅に制限されている中で、本研究は順調に進捗した。これらの一部の研究成果に対して海外での招待講演を含めて外部発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、従来の精密重合(リビング重合)に用いられてきた「共有結合種(ドーマント種)の可逆的活性化反応に基づく重合反応制御」の概念をさらに発展させて、マルチアクティブ種の共存に適用し、従来のモノマー構造由来の反応機構や活性種による分類を超えて未開拓の共重合体や位置特異的に自在にモノマー単位や機能団を組み込むことのできる革新的な高分子材料の合成・設計技術を確立することを目的としている。 2020年度はとくに以下の事柄に注力して研究を行った。 1)リビングクリック重合の確立 これまでにわかりつつある触媒移動型クリックリビング重合において、効率的に銅触媒を捕捉可能な配位子型の開始剤を設計することで、より理想的なリビングクリック重合を目指した。とくにエステル型モノマーについて、ポリオキシエチレンスペーサーの長さの異なる種々のアジド-アルキンAB型モノマーを設計し、開始剤から選択的なクリック重合を明らかにした。また、糖鎖にアルキンとアジドを導入したモノマーを設計し、クリックリビング重合による精密糖鎖ポリマーの合成の可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の高分子を作る様々な化学反応を組みわせられるような画期的な化学反応論を構築することで、自在に高分子を設計できる革新的高分子精密合成を可能とするとともに、得られる従来未開拓の高分子材料についてその性質を明らかにするよう研究を推進する。 特にクリックリビング重合の剛直鎖への展開などについて注力して検討を行う。
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Research Products
(5 results)