2021 Fiscal Year Annual Research Report
Precision synthesis of sequence-controlled polymers and creation of sequence-driven functions
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19H00911
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学研究科, 教授 (90394874)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 配列 / 共重合 / 高分子 / 機能 / 連鎖重合 / 分解 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は配列制御高分子の合成や配列由来の特性創出で大きな進展が得られた。まず,ジビニルモノマーの選択的環化重合とアミノリシス反応による側鎖変換によるアクリルアミド交互配列制御ポリマーの合成に対し,ジビニルモノマーの分子設計を見直し,その結果制御ラジカル環化重合が可能になり,3種のアクリルアミドモノマーからなるホモポリマーと交互共重合体のブロック共重合体の合成に成功した。組成が同じで配列が制御されていないポリマーも合成し,水中温度応答性を比較したところ,劇的な違いが確認され,組成が同じでも配列を制御することで物性が大きく変わることを示した。 また,単独重合性がなく交互共重合は可能であり,交互共重合後に汎用モノマーユニットに変換できるモノマーとして,サッカリンを側鎖に有するメタクリルアミドを合成した。スチレン,ジエンなどのコモノマーとの交互共重合の後にワンポットで様々なアルコールを添加することで,対応するメタクリレートとの交互共重合を簡便に合成できるようになり,対応する1:1の統計的共重合体も合成し,交互共重合が低いガラス転移温度を示すことを明らかにした。結果をまとめた論文はACS Polymers Auに裏表紙を飾る論文として掲載され,当該雑誌で最も読まれた論文に選出されるほど注目された。 さらにつなぎ目に配列の制御されたオリゴペプチドを導入したポリスチレン-ポリメタクリル酸メチルブロック共重合体(PS-block-PMMA)がミクロ相分離を引き起こす下限分子量以下の分子量でもミクロ相分離し,長周期ラメラ構造を形成することを見出した。配列をわずかに変えると長周期ラメラ構造は形成しなかったことから,つなぎ目のアミノ酸配列が高分子全体の自己組織化挙動に影響していることが示された。この結果をまとめた論文はMacromoleculesに裏表紙を飾る論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
世界に先駆けて,合成高分子(ビニルポリマー)に対して配列を制御する意義を示す研究成果を出すことができた。配列を制御するのみならず,配列の制御されていない高分子や配列の異なる高分子を作り分けてその物性を比較したことが重要であった。また後反応によって側鎖を多様に設計できる点も今後の展開が期待される。よって計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ABC交互配列,AAB交互配列,AB交互共重合体とCD交互共重合体のブロック共重合体など,これまでの合成技術を発展して,新しいタイプの配列制御高分子の合成に展開する。さらに配列に基づく機能として,刺激応答性,自己修復性,物質輸送性などに加えて,分解性についても調べる予定である。
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