2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sensitive Molecular Imaging Based on Hyperpolarization Molecular Technique
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19H00919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山東 信介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20346084)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 分子プローブ・分子造影剤 / MRI / 核偏極 / 代謝・生体微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者等は、核偏極寿命と相関する核スピン偏極緩和T1と分子構造の理解に基づき、長寿命核偏極を実現する分子ユニットとしてtrimethylphenylammonium(TMPA)骨格の開発に成功している。一方、生物個体応用を考えた場合、生体毒性や体内動態、生体夾雑環境下における分子物性など、克服すべき点は多い。まず、基礎設定課題「血中において500秒以上の縦緩和時間(T1)を維持し、投与条件において生体毒性を与えない分子骨格の実現」に向けた研究を実施した。特に、TMPA骨格では生体毒性以外に、血中タンパク質との相互作用に基づく緩和も大きな問題であった。そこで、長寿命核偏極を実現する4級アンモニウム構造-15N(CD3)3に着目し、生体応用可能な長寿命核偏極分子骨格の創製に取り組んだ。4級アンモニウム構造を持ち低毒性、非特異的相互作用が少ない生体分子を設計・合成し、種々の条件下での15N縦緩和時間を計測した。また、T1緩和の要因を各種要素に分割し、そのメカニズムに関する解析を行った。その結果、生体毒性が少なく、また生体内に存在する混在タンパク質に対する非特異的接着性を抑えた分子骨格を見出した。一方で、本分子骨格を用いた高感度生体分子センサー開発に向けては、T2やT2*緩和に向けた理論的解釈を明確にすることが必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載の通り、以下の進捗を得ている。 1.生体毒性が少なく長寿命核偏極を実現できる15N分子骨格の探索を実施し、候補化合物を得ている。得られた候補化合物は、従来化合物の代表例であるTMPAと同じく室温下において長いT1を有する。 2.得られた長寿命核偏極分子骨格のT1緩和プロセスを描く要素に分解し、その解析を実現した。 3.上記、長寿命15N(or 13C)分子骨格をもとに分子センサー開発を実施するには、T1のみでなくT2およびT2*に対する分子構造からの理解が必須であることが明らかになった。T2測定系の構築に取り組んだ。 一部、2年度に繰越して研究を実施するが、概ね予定通り研究を展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた成果を発展させ、生体微小環境に応答する長寿命核偏極分子プローブの設計と評価を進める。そのためには、分子と生体微小環境、T1やT2/T2*緩和相関に対する理解が必要である。 1.化学分子構造ーT2に関する構造活性相関解析を実施する。具体的には、長寿命分子構造[13C, 15N]を含む分子を系統的に準備し、T2測定を進める。条件を変化させた状態でのT2やT2*変化から、各緩和項目の理解に取り組む。また実際に、生体微小環境を変化させた際のT2やT2*の変化を測定し、目的とする生体化学的環境の変化の計測を実現可能な分子プローブの開発を進める。 2.長寿命T1を実現する分子構造の設計に向けた研究を実施する。分子構造が核スピン縦緩和時間(T1)に与える影響をより詳細に理解するために、分子の構造を系統的に変化させた13C分子構造を合成し、そのT1値を評価する。特に、分子運動を考慮した計算化学を組み入れ、長寿命核偏極分子プローブの精密設計に向けた研究を実施する。 3.動物での実証実験に向けて、プロトタイプ分子プローブの開発と予備検討実験を実施する。1,2で得た知見をもとに重要な疾患関連酵素を対象とする長寿命-核偏極分子プローブ開発を実施する。
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[Presentation] Development of a Hyperpolarized Molecular Probe for in vivo Detection of Aminopeptidase N Activity2019
Author(s)
Yutaro Saito, Yohei Kondo, Ryo Ishida, Tomohiro Seki, Iori Tamura, Hiroyuki Yatabe, Yoichi Takakusagi, Kazutoshi Yamamoto, Hiroshi Nonaka, Murali C. Krishna, Shinsuke Sando
Organizer
日本化学会第100春季年会
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