2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of systematic chemical synthetic method of element substitution type nucleic acid oligomer which becomes the next generation nucleic acid drug candidate
Project/Area Number |
19H00930
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
千葉 一裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 学長 (20227325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80749268)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 化学合成 / 有機合成 / 電解反応 / 中分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般の化学合成法だけでは達成することが困難なアザヌクレオチドオリゴマーを99.5%以上の高純度品として大量供給する革新的製造法を確立し,医薬品,農薬としての実用化開発に対応できる構造の多様化,機能拡張に展開することを目的とする.核酸医薬は低分子医薬,抗体医薬に続く次世代の革新的医薬品として期待されているが,その中でも第四世代の核酸医薬の一つに位置づけられているアザヌクレオシドは,天然型核酸構造の一部の酸素原子を窒素原子に置換した基本骨格を有し,従前の核酸医薬候補物質を凌ぐ優れた機能や活性が確認されている.しかし,その化学合成法は多段階を要し,必要量を得るためには大きな困難を伴う.本研究では申請者がこれまでに独自に開発した有機電解反応法を基軸とした化学合成法を進展させることにより,従来法では達成困難な目標を達成するものである。 電解反応法により,容易に大量入手できる,天然プロリンの還元体であるプロリノール誘導体から立体選択的に各種塩基を導入する方法を開発した.この方法の最も重要な点は電極酸化によってプロリノールのN-α位に選択的にカチオンを発生し,このカチオンに対して立体選択的に各種塩基を導入する反応である.選択的な電子移動の実現と共に,反応系内に存在する溶媒や他の試薬がこのカチオンとの反応を制御した.また,電解反応条件で反応させるべき塩基が分解することを抑制するために,電解処理が終了後に核酸塩基を投入する方法を導入した.さらに,これらの要素技術を基盤に核酸塩基を立体選択的に導入するために,プロリノール誘導体に導入した保護基の隣接基関与を応用したところ、選択的な反応の実現に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題については順調に進行しているが、コロナウイルス感染症対策により大学内での実験実施を一定期間自粛する必要が生じたため、やや遅れた状態になり、2021年度にその一部を実施し、目標を達成する見込となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・RNA型およびDNA型;アザヌクレオシドの立体選択的化学合成法を確立する C-アザヌクレオシドはN-アザヌクレオシドとは異なり,プロリノール部分と核酸塩基アナログ部分が炭素―炭素結合で強固に結合しているため,プロリノールの窒素置換基を外しても脱離反応は起こりにくい.そのため,窒素原子上の置換基については導入しないことも含め,非常に自由度は高い.実際に,医薬品としての認証が進んでいるForodesineなど,窒素上に置換基を持たないものも多い.その一方で,核酸塩基アナログの炭素部分をプロリノール上に発生させたカルボカチオンといかにして立体選択的に反応させることができるかが大きな課題となっている. 本研究では,この困難な課題を克服するために次の計画を提案する. 1)電解反応により予め脱離基をプロリノールの反応点に導入し,その後に求核性を高めた核酸塩基アナログを立体選択的に導入する. 2)電解反応に用いる電解質溶液にルイス酸としての機能を持たせ,電解によって相応するカルボカチオンを発生後,核酸塩基アナログを投入して目的とする炭素―炭素結合形成反応を立体選択的に達成する.
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