2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of structure and function of novel cytokinins produced by phytopathogen
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19H00931
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 均 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20242852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 美紀子 (小嶋美紀子) 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専門技術員 (10634678)
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サイトカイニン / 植物病原菌 / FASオペロン / Rhodococcus fascians |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の想定に反しNC289Rが最終産物ではなく、FAS1によりさらに修飾される可能性が判明したため、まず始めに新たな最終産物候補化合物の特徴づけを行った。その結果、新規最終産物候補化合物は分子質量が303であること(以下NC303とする)、NC303はRhodococcus fasciansの液体培養上清中および感染植物中にNC289よりも多量に検出されることが明らかになった。また、R. fasciansと同様にFAS遺伝子クラスターを持つStreptomyces turgidiscabiesにおいてもNC303が生産されていることが明らかになった。この解析に加え、NC303のOrbitrapを用いた精密分子質量分析により化学組成式の予測を行った。 一方、最終産物ではないNC273はその処理によって植物のグリーンカルス誘導が強く誘導される。そこでこの誘導時に起こるトランスクリプトーム変化を知るために、NC273処理、およびトランスゼアチンサイトカイニン処理をしたシロイヌナズナ胚軸からRNAを抽出しRNAseqを行った。その結果、NC273はサイトカイニン受容体に対する親和性が著しく低いものの、宿主植物に対しサイトカイニン作用を及ぼしていること、オーキシン作用を持つ可能性は低いこと、さらに細胞壁生合成や細胞分裂関連遺伝子の発現レベルを上昇させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、NC289Rが最終産物と判断していたが、その後試験管内でのFAS1とNC273の反応産物の解析を詳細に行ったところ、FAS1によりさらに修飾される可能性が判明した。そのために高額の費用がかかるトランスクリプトーム解析に進むことを一旦止めて、その最終産物候補の化合物の性質を検証した。その結果、質量分析により最終産物の分子質量が303であることが判明し、高分解能の質量分析により組成式の予測ができた。また、トランスクリプトーム解析については、植物胚軸を用いたグリーンカルスアッセイでNC273が最も強い誘導活性を示したことから、遺伝子応答の挙動を知るためにNC273処理に応答する遺伝子群を知ることの意義は大きいと判断するにいたり、最終年度でその解析を行うことで研究期間間に当初の目標は十分に達成できる見込みが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、NC273の作用点についてはサイトカイニン受容体の変異株を用いてグリーンカルス誘導実験を行うことでトランスクリプトーム解析により得られた結果の裏付けと、複数存在する受容体の中で主要な役割を持つ受容体の情報を得る。 構造未同定の新奇NC化合物の構造同定については、NC303の大量精製と構造決定を試みる。具体的には精製組換え酵素を用いた試験管内での大量調製を試みる。
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Research Products
(5 results)