2020 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on development of control measures of Cryptocaryon irritans infectios based on integrated pest management
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19H00948
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
良永 知義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20345185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30502736)
白樫 正 近畿大学, 水産研究所, 准教授 (70565936)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海産魚の白点虫 / 光受容 / イオノフォア / プロテアーゼ / ワクチン / in vitro 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の4つの研究課題(I. 海産白点虫(以下、白点虫)の生態学的特性に基づく発生予測技術の検討、Ⅱ.化学療法剤の探索と有効性・安全性の検討、Ⅲ.寄生関連タンパク分解酵素を抗原としたワクチンの検討、IV. 新たなin vitro培養法の開発)それぞれについての成果は以下のとおりである。 I. 特異性と再現性の高い新たなプライマーとブローブがほぼ完成した。今後、現場海水試料への応用に向けて、植物プランクトンの影響等を検討する。白点虫トモントの概日リズムについて、光周期への反応か、あるいは、光照射によって産生されるラジカルに対する反応なのかを検討し、光照射そのものに対する反応であることが明らかとなった。このことから、白点虫トモントには何らかの光受容メカニズムがあることが示唆された。 Ⅱ. 従来の二層培養法を用いて、各種イオノフォアの白点虫トロホントへの殺虫効果を把握した。さらに各種イオノフォアの培養細胞への影響も検討した。その結果、これまでに効果が知られていた2種に加えて、新たに2種のイオノフォアが抗白点虫薬剤として有望であることが明らかになった。 Ⅲ. これまでに白点虫の感染に重要な役割を有していると推定されているプロテアーゼ一種をターゲットとして、プロテアーゼのアミノ酸の部分配列ならびに完全配列にを用いてDNAワクチンを試作し、ヒラメに接種し、抗白点虫効果を検討した。その結果、白点虫の寄生数を有意に低下させることが明らかとなり、プロテアーゼは白点虫に対するワクチン抗原として有望であることが示された。 Ⅳ. アポトーシス細胞を白点虫セロントに餌として培養を試みたが、摂餌は極めて限定的であった。一方、セロントは培養液中で何かに潜り込もうとする反応を示していたことから、in vitro培養のためには、侵入するための何らかの器質を与える必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの課題について、それぞれ今後の研究の進展に向けて一定の成果が得られており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症のため、課題Iのために必要なフィールド調査が行えるかどうかが定かでない。今後も、しばらくは様々な制限下での研究実施が余儀なくされるが、研究課題実施の予定にこだわることなく、実施可能な課題、実験から臨機応変に研究を進めることとする。
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