2020 Fiscal Year Annual Research Report
Production of new breed varieties of marine fish by domestic genome editing technology
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19H00951
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 倫也 九州大学, 農学研究院, 特任教授 (00183955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 耕平 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10585764)
長野 直樹 宮崎大学, 農学部, 教授 (50437943)
大賀 浩史 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (60792299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 国産ゲノム編集技術 / 育種 / マサバ / PPR / 完全養殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、マサバの完全養殖システムを開発し、養殖マサバを市場流通させている。しかしマサバの完全養殖では、稚魚期における共食いによる生残率のを減少が問題となっていた。そこで、TALENを利用したゲノム編集により攻撃性を低下させた「おとなしいマサバ」の系統を作出した。本研究では、外国の技術に依存しない、国産ゲノム編集技術であるPPRを利用して「おとなしいマサバ」を作出することを目的とした。 本年度は、標的であるAVTR-V1a2遺伝子においてS-S結合を形成するシステイン残基の一つを破壊するために、標的部位を挟み込む15種類のPPRペアを作製し、in vitroにおける相対n/f Luc活性値が1.5を超える上位4ペアを選出した。2020年5月に、卵黄形成が終了したマサバ雌雄親魚にGnRHaを投与し産卵誘導した。得られた受精直後の受精卵に対して、上記PPRのmRNAを25, 50, 100, および200 ng/μl濃度で顕微注入した。その結果、25~100 ngでは対コントロール比で概ね7割程度の正常孵化率を示したが、200 ngでは奇形や致死の割合が他よりも高い傾向が認められた。PPRを導入した受精卵の孵化稚魚(F0世代)は通常の餌料系列(ワムシ、アルテミア、配合飼料)を用いて育成した。途中で斃死による少数の脱落があったが、9月迄に数百尾の個体が生存していた。しかし、9月に来襲した2つの大型台風による飼育設備の破損により、F0世代は全滅した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年11月にヒレ組織を採取し、DNAを抽出後、標的部位の塩基配列を調べる予定だったが、9月に北部九州に連続して来襲した大型台風9号および10号により、飼育施設の破損が起こり、そのため育成中のF0個体数百尾が全滅した。これにより、研究は中断し、計画していたF0世代の遺伝子解析およびそれに続くF1世代作出用のF0親魚の選別と育成ができなくなり、当初の計画より大幅に遅れることとなった。 飼育中の不慮の事態(飼育設備・機器の故障や停電)への対応は十分にしていたが、今回のような連続した大型台風の襲来とそれによる飼育設備の破損は予期しておらず、貴重な研究材料を一気に失う事態となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、マサバ受精卵へAVTR-V1a2遺伝子を標的としたPPRを導入し、F0個体の作出に成功した。しかし、想定外の2つの大型台風の来襲により、9月に育成中のF0世代数百尾を一気に失った。飼育中の不慮の事態(飼育設備・機器の故障や一時的停電)への対応に加え、大型台風等による飼育設備の破損にも対応するため、現在の飼育設備に加え、予備の飼育設備を設置することとする。
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Research Products
(3 results)