2021 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体障害における凝固因子・内皮細胞・ポドサイトのクロストーク機構の解明
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19H00968
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 真吾 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80755546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 和幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10223554)
藤井 渉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40708161)
播谷 亮 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (80355172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポドサイト / 糸球体障害 / 慢性腎臓病 / 凝固因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
アドリアマイシンまたはLPSを投与する糸球体障害マウスモデルを作製し、野生型マウスとPAR-2欠損マウスで蛋白尿およびポドサイト障害を評価した。その結果、野生型マウスでは蛋白尿およびポドサイト障害が認められたのに対して、PAR-2欠損マウスではそれらの改善が認められた。さらに慢性糸球体障害モデルである糖尿病性腎症マウスモデルを作製し、野生型とPAR-2欠損マウスで比較した。その結果、慢性糸球体障害モデルにおいても野生型と比較してPAR-2欠損マウスで蛋白尿やポドサイト障害の改善が認められた。腎臓の免疫染色により、PAR-2はポドサイトに高発現していることを確認した。そのためポドサイトに発現するPAR-2が糸球体障害に重要である可能性がある。 PAR-2を活性化するリガンドとして凝固因子VIIaおよびXaがあるが、これらの凝固因子活性を抑えるTFPIと呼ばれる内因性プロテアーゼインヒビターが存在する。上記糸球体障害マウスにおいて、血中および腎臓内のTFPIが顕著に低下していることがわかった。そのため、TFPIの低下により凝固因子活性が亢進し、PAR-2が刺激されることで糸球体障害が進行する可能性が示された。 これを証明するためにポドサイト特異的PAR-2コンディショナルKOマウスおよび血管内皮特異的TFPIコンディショナルKOマウスを作製中である。Podocin-Creマウス、VE-cadherin-Creマウスは既に導入し繁殖が完了している。PAR-2-floxマウスは今年度作製が完了し、現在繁殖およびCreマウスと交配中である。TFPI-floxマウスは残念ながら現段階で作製することができず、現在別のゲノム編集技術を用いて作製を試みている。 また、ヒトの腎臓遺伝子発現データベースを用いた解析により、蛋白尿を呈する患者でPAR-2発現が亢進していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンディショナルノックアウトマウスの作製費必要なCreマウスおよびPAR-2-floxマウスは既に導入・作製・繁殖済みであるが、TFPI-Floxマウスの作製が想定よりも遅れている。しかし、それ以外の点はおおむね計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ポドサイト特異的PAR-2コンディショナルノックアウトマウスを用いて各種糸球体障害モデルを作製し、症状やポドサイト障害をコントロールマウスと比較する。またポドサイトのPAR-2刺激がどのように糸球体障害に影響を与えるのかを細胞レベル、組織レベル、個体レベルでより詳細に解析する。PAR-2の下流シグナルやメカニズムの解析を行う。 マウスモデルだけでなく、イヌの糸球体腎炎やネフローゼ症候群の臨床症例から採取した血液、尿、腎組織を用いてPAR-2、凝固因子、TFPIを評価し、重症度や予後との関連を評価する。
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Research Products
(23 results)