2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送が厳密に制御する自然免疫分子STINGの活性・不活性化の分子機構
Project/Area Number |
19H00974
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田口 友彦 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10300881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膜輸送 / 細胞小器官 / 自然免疫 / 翻訳語修飾 / ミクロオートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然免疫分子STINGの細胞内輸送を制御する分子機構を明らかにすることを目的としている。2019年度の研究実績の概要は下記の通りである。
(1) 超高解像度のライブセル蛍光イメージングによりSTINGの細胞内輸送プロセスを可視化した。その結果、リサイクリングエンドソームに運搬されたSTINGは、リソソームに包み込まれるように内在化し、ついで分解を受けていることが示唆された。リサイクリングエンドソームに局在するタンパク質であるトランスフェリン受容体のオルガネラ内腔側にGFPをつけたタンパク質(TfnR-GFP)の挙動をSTINGと同時に追跡したところ、GFPの蛍光は消失することなく、リソソーム内部に取り込まれる結果を得た。この結果は、リサイクリングエンドソーム膜が、リソソームの限界膜に融合することなく、リソソームの内部に取り込まれていく物質輸送経路が存在していることを示唆する。 (2) 自己炎症性疾患COPA異常症における炎症性応答・I型インターフェロン応答が、STINGの恒常的な活性化に起因していることを示すことができた。今後は、研究代表者が見出したニトロ化不飽和脂肪酸などのSTING阻害剤の添加により、COPA異常症で起きているSTINGの恒常的な活性化が抑制できるか検討し、本疾患の新規治療法の提示に結びつけたい。 (3) STINGの翻訳後修飾に着目して解析を行い、既に報告されているSer365(マウス)のリン酸化に加えて、Tyrを含む多数のリン酸化サイトを同定することができた。これらのリン酸化を媒介するキナーゼの同定およびリン酸化を受けない変異タンパク質のシグナル活性化能を評価し、リン酸化の重要性を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
自己炎症性疾患COPA異常症の炎症応答がSTINGの活性化によって起きていることを示すことができたため。リソソームでSTINGが分解される過程について、ライブセルイメージングによる検討がすすみ、ミクロオートファジーという過程で分解を受けていることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
STINGのミクロオートファジーによる分解に関与する遺伝子をゲノムワイドのスクリーニングで明らかにする。STINGがミクロオートファジーで分解されるために必要な条件を、特に、STINGの刺激後に起きる翻訳後修飾に着目して検討を行う。COP-alphaとSTINGの結合を媒介するアダプタータンパク質を質量分析によって同定する。
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Research Products
(10 results)