2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送が厳密に制御する自然免疫分子STINGの活性・不活性化の分子機構
Project/Area Number |
19H00974
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田口 友彦 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10300881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膜輸送 / 細胞小器官 / 自然免疫 / 翻訳後修飾 / ミクロオートファジー / 自己炎症疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然免疫分子STINGの細胞内輸送を制御する分子機構を明らかにすることを目的としている。令和2年度の研究実績の概要は下記の通りである。
(1) 自己炎症性疾患COPA異常症における炎症・I型インターフェロン応答が、STINGの恒常的な活性化に起因していること、cGAMP刺激がない状況でもSTINGは小胞体とゴルジ体を常に循環していること、COP-alpha (COPA)とSTINGをつなぐアダプタータンパク質Surf4を同定して、論文公表を行った(J Exp Med 2020, Nat Commun 2021)。 (2) STINGのリソソームにおける分解は、リソソーム膜とSTING膜が融合することなく、リソソーム膜が変形してSTING小胞を直接飲み込むようなプロセス(ミクロオートファジー)で進行することを令和元年度までに見出していた。令和2年度はミクロオートファジーを制御する因子を同定するため、120種類の膜輸送制御因子に焦点をあてたsiRNAスクリーニングを行った。その結果、ESCRT複合体を含む一連のvps遺伝子群がSTINGの分解を制御していることを明らかにした。 (3) STINGは「小胞体→ゴルジ体→リサイクリングエンドソーム→リソソーム」と輸送されるが、リサイクリングエンドソームにおいてSTINGにユビキチン修飾(K48鎖、K63鎖)が起こることを見出した。リサイクリングエンドソームに局在するE3リガーゼの存在が示唆された。 (4) STINGのリソソームへの輸送をハイスループットで評価できる、発光を用いたアッセイ系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
自己炎症性疾患COPA異常症の炎症応答がSTINGの活性化によって起きていることを明らかにし、2報の論文(J Exp Med 2020, Nat Commun 2021)として公表することができたため。STINGの細胞内輸送制御の破綻が、STINGを起因とする疾患に直結することを明らかにすることは、本申請内容の目標の一つであり、それを達成することができた。
STING分解に関与するミクロオートファジーを制御する分子機構の一旦を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
リサイクリングエンドソームで起きるユビキチン修飾とSTING分解の因果関係を明らかにする。Vps遺伝子のノックダウンでSTINGの輸送がどの過程で阻害されてリソソーム分解を受けなくなっているのか、蛍光観察および電子顕微鏡観察により明らかにする。STINGの輸送とミクロオートファジーを制御する遺伝子をゲノムワイドスクリーニングで明らかにする。
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Research Products
(6 results)