2022 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between architecture and function of intraciliary protein trafficking complex: molecular basis for ciliopathies
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19H00980
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 和久 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40192679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
申 惠媛 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (10345598)
加藤 洋平 京都大学, 薬学研究科, 講師 (90568172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 繊毛 / タンパク質複合体 / タンパク質輸送 / 繊毛病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、 繊毛内タンパク質輸送装置(IFT装置)を構成するIFT-B複合体、BBSome複合体、輸送を駆動するモータータンパク質のダイニン2複合体、および輸送を調節する低分子量GTPase、輸送の方向の転換を調節するキナーゼに関して、これらのタンパク質と相互作用するタンパク質との関連の解析と機能の解析、およびこれらのタンパク質の繊毛病での突然変異に起因する分子レベルでの異常と細胞レベルでの異常の関係を明らかにすることによって、繊毛病の分子基盤の解明を目指して研究を遂行した。特に、繊毛病における分子レベルでの変異と、細胞レベルで起こる繊毛内タンパク質輸送の異常の関連を明らかにする論文を3報発表できており、研究成果は十分にあがったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下のことを明らかにした。特に、繊毛病原因遺伝子の変異と細胞レベルでの異常の関連に関する論文を3報発表できていることから、当初の計画以上に進展していると考える。 (1)繊毛先端におけるIFT装置の順行輸送から逆行輸送への方向転換を調節するキナーゼICK/CILK1が、別のキナーゼCCRK、およびCCRKに結合するBROMI、FAM149B1によってどのような調節を受けるのかのメカニズムを明らかにした。特に、繊毛病ジュベール症候群の原因となるFAM149B1の変異によって繊毛内輸送んにどのような影響が出るのかを明らかにした。 (2)骨格系繊毛病を引き起こすIFT-B複合体のサブユニットIFT52の変異によるタンパク質間相互作用(他のIFT-Bサブユニットとの相互作用)の異常と、細胞レベルで起こる繊毛内タンパク質輸送の異常の関連を解明した。 (3)昨年度に解明したバルデー・ビードル症候群の原因となるFT27/BBS19およびIFT74/BBS22の変異による繊毛内タンパク質輸送の異常に関連して、IFT74-IFT81二量体と相互作用する低分子量GTPaseのRABL2、およびRABL2と相互作用する基底小体タンパク質CEP19がこの異常とどのように関わるのかを解明した。 (4)繊毛内の逆行性タンパク質輸送を駆動するモーターのダイニン2複合体が、IFT装置のうちのIFT-B複合体と相互作用して、積み荷として繊毛基部から先端へと順行輸送される機構を明らかにした。さらに、ダイニン2複合体のサブユニットWDR34/DYNC2I1の繊毛病における変異と、細胞レベルでの繊毛内タンパク質輸送の異常のとの関連を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IFT装置を構成するIFT-B複合体、BBSome複合体、およびモータータンパク質のダイニン2複合体を構成するサブユニットの突然変異に起因する繊毛病の分子レベルでの異常と細胞レベルでの異常をつなぐメカニズムの解明を目指す。 (1) 前年度に解明したダイニン2複合体とIFT-B複合体の間の相互作用に関して、今度はIFT-B複合体のサブユニットの側の輸送調節の観点から研究を展開する。 (2)前年度および前々年度に解明したバルデー・ビードル症候群の原因となる変異に関連して、IFT74の変異だけでなく、IFT74と二量体を形成するIFT81の変異によって、繊毛内タンパク質輸送にどのような異常が起こるのかメカニズムの解明を目指す。 (3)間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化にはヘッジホッグシグナル伝達が重要な役割を果たすことが知られている。これまでに、分化研究で繁用されている間葉系幹細胞株C3H10T1/2から骨芽細胞への分化系を確立している。この分化系を活用して、IFT-A複合体やダイニン2複合体のサブユニットの変異が、ヘッジホッグシグナル伝達を介して骨芽細胞への分化に対してどのような影響を及ぼすのかの解明を目指す。
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Research Products
(16 results)