2019 Fiscal Year Annual Research Report
Is the Asgard archaea the ancestor of eukaryotes?-Characterization of the first cultured archaeal strain-
Project/Area Number |
19H01005
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
井町 寛之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 主任研究員 (20361933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 淑識 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学プログラム), センター長代理 (80399815)
延 優 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40805644)
諸野 祐樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30421845)
玉木 秀幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (00421842)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アーキア / Asgardアーキア / 真核生物の起源 / 嫌気性微生物 / 海底堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
先の基盤研究 (A) (課題番号15H02419) において、生物進化の観点から重要と考えられているAsgardアーキアを世界で初めて分離・培養することに成功し、この分離したMK-D1株は他の微生物と共生しながらアミノ酸やペプチドを分解する嫌気性の極小の球菌であることなどの特徴の一部を明らかにしていた。本基盤研究 (A) ではMK-D1株のさらなる細胞学・生理学的諸特性を明らかにすることにより、Asgardアーキア群が真核生物の起源たる原核生物であるのかについて検証することを目的として研究を進めている。 初年度はアーキアから真核生物へと至る細胞の進化過程を推定するための重要な情報となる細胞膜の膜脂質の分析を行った。その結果、MK-D1株はこれまでに知られているアーキアと同様にイソプレノイドを含むことがわかり、エーテル型脂質を持つことが示唆された。現存する真核生物の細胞膜は脂肪酸がエステル結合したエステル脂質であることを考えると、アーキアが真核生物へと進化していく過程で、細胞膜脂質がエーテル型からエステル型へと切り替わったと推定された。続いて、クライオトモグラフィー電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いてMK-D1株の細胞内部構造の調査を行った。先行研究で行われたメタゲノム解析の結果から、多くの研究者はAsgardアーキアの細胞内には真核生物細胞のように小器官が存在すると予測していた。しかしながら、MK-D1株の細胞内には視認できるような小器官は観察されず、他のアーキアと同様に単純な細胞構造であることを明らかとなった。 これまでに得られたデータをまとめて論文を作成し、投稿した。プレプリント論文として公開した論文はScience誌が選ぶ2019年の革新的な十大科学ニュースに選ばれた。また査読を経て正式に出版された論文はNature誌に掲載され、国内外の多くのメディアで紹介された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、細胞膜の膜脂質型および電子顕微鏡による細胞内構造観察を行う事ができ、発表論文の重要なデータとなった。このことから「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
MK-D1株のさらなる細胞学・生理学的諸特性を明らかにするとともに、Asgardアーキア群に属するMK-D1株以外の新しいアーキアの分離・培養を進めて行く。
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Research Products
(3 results)