2019 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習を実現する広域脳ネットワーク回路可塑性の包括的研究
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19H01037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 政紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50353438)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動学習 / 2光子イメージング / 運動野 / 視床 / 小脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物における運動学習の回路動作原理を解明することを目的とし、一次運動野内と一次運動野に入力する信号と出力される信号を系統的に調べその関連と運動学習における役割を明らかにしようとしている。今年度は、トレーサー実験によって、運動野へ小脳から入力する経路を複数同定した。いくつかの経路に特異的にその軸索活動を、マウスがレバー前肢運動学習課題を行っているときに2光子カルシウムイメージングによって計測する方法を開発した。また運動自体には関連しないが運動学習に必要な情報を検出するために、4週間程度の訓練を必要とする新たなマウス運動学習課題を構築した。運動学習後、視床皮質投射軸索を含む運動野スライス標本を作製し、運動野細胞に対してホールセルパッチクランプを行い、同時に視床皮質投射軸索を青色刺激することで、視床皮質投射軸索からの記録細胞へのシナプス後電流を計測する実験系を確立した。2層細胞や5層細胞、また投射特異的細胞を区別してパッチクランプを行うことができるようになった。また各種の薬剤によって、マウス運動学習がどのように阻害されるのかを明らかにしつつある。特に学習前期と後期において、関連する脳領野が異なるという作業仮説の検証を進めている。また運動野での細胞集団活動と多くの行動パラメータが学習中にどのような関係に変化し維持されるのかを、エンコーディング、デコーディングの解析技術を駆使して、明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動学習に関連する脳内経路を明らかにしつつ、新しい運動学習課題を構築できたため。また関連経路でのシナプス電流変化を計測できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、運動学習に伴うシナプスレベルの変化、および運動学習における異なった情報を獲得していく運動記憶回路を明らかにしていく予定である。
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