2020 Fiscal Year Annual Research Report
興奮抑制バランス操作による脳の可塑性メカニズムの理解
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19H01041
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 和久 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20505979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高堂 裕平 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主幹研究員(任常) (60593564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習 / 視覚 / 脳イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍によって実験や技術開発が制限されたが、最終目標であるMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)フィードバック技術に必要なヒトを対象とした基礎データの取得および解析を継続するとともに、モデル動物を対象としたMRSによって定量されるグルタミン酸(興奮性神経修飾物質)およびGABA(抑制性神経修飾物質)と興奮性および抑制性神経活動の対応を調べるための実験を進めた。ヒトを対象としたMRS実験では、引き続き主に低次視覚皮野からMRS信号を取得し、異なるMRSシーケンスパラメタやMRS信号解析方法で興奮抑制バランスの計算に用いる神経修飾物質の定量における正確性や信号雑音比がどのように変化し得るか、検討を行った。また、この予備的検討やこれまでのニューロフィードバック研究から得られた経験をもとに、痛みの知覚を脳とAIシステムの双方向から制御するニューロフィードバックシステムの構築に携わった。この実験の成果は論文として発表された。さらに、これまで行ってきたニューロフィードバックのデータをまとめデータベース化した論文も発表された。これらの成果は、MRSフィードバックの開発にも大きく資するものである。モデル動物を対象とした実験は、分担研究者の高堂が行った。去年度に策定したデザインをもとに実験を進め、MRS信号と抑制性・興奮性ニューロン活動の対応を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により実験や技術開発に大きく制限がかかったため、ヒトを対象にした実験には、想定していたほどの進みが見られなかった。モデル動物を対象にした実験も制限を受けたが、それでもある程度の進展はあり、次年度には論文として成果発表の目処がある程度たっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は引き続き、MRSフィードバックシステム開発の基礎となるデータ取得とその解析、およびシステムの設計に焦点をあて研究を進める。前年度はコロナ禍で実験実施が制限されていたが、MRS信号を低次視覚野から測定し、定量的な解析を行うパイプラインは確立したといえる。2021年度は低次視覚野以外の領域からもMRS信号を測定し、興奮抑制バランスを計算するための神経修飾物質の定量を行う。また理化学研究所脳神経科学研究センターに、2021年度中に超高磁場(7T)MRIシステムが導入される。この7T MRIによって、MRS信号の信号雑音比が大きく向上すると見込まれる。2020年度にコロナ禍の影響で出た技術開発の遅れは、7T MRIの導入によってかなりの程度解消されると考えられる。2021年度は、モデル動物を用いた実験も引き続き進め、解析および論文執筆、可能であれば受理を目指す。
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Research Products
(4 results)