2020 Fiscal Year Annual Research Report
Nudge toward malaria elimination - development of novel integrated strategy in tropical Africa
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19H01080
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金子 明 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60169563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 渉 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (20782577)
松本 朋哉 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80420305)
城戸 康年 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90511395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マラリア / 行動経済学 / ナッジ / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア根絶は、21世紀人類の課題である。今般の殺虫剤処理蚊帳やアルテミシニン基盤併用療法のスケールアップにも関わらず、多くの熱帯アフリカマラリア流行地では高度の伝播が続く。この残留伝播を支える要因として、我々は(1)多くの無症候性感染者の存在、(2)殺虫剤耐性・屋外吸血性媒介蚊、(3)感染防御に対する住民の不適切な行動を見出した。本研究提案では、これらの残留伝播を抑え込むのみならず、マラリア撲滅を目指した包括的・住民主導マラリア撲滅戦略の熱帯アフリカにおける概念実証を目的とする。そのアプローチとして医科学と行動経済学の融合を求め、「行動医科学」とも言うべき新たな学術領域を提唱するものである。 本年度は予備調査に基づき、介入試験へ着手した。対象地は、ケニア・ヴィクトリア湖周辺地域Suba South SubCountyであるる 。介入は、行動経済学的アプローチに基づくものであり、マラリア感染制御を達成した家計に対して報奨金を与えるスキームとした。報奨金の支給方法については 、ゴールを達成した家計に対して一律支給する計画(Conditional Cash Transfer)と、達成した家計が高額の報奨金を得られるくじ引きへの参加権を得る計画(Lottery Incentive Scheme)を設定している。こうしたインセンティブに基づいた適切な予防行動を促すため、正しく効果的なマラリア予防行動と現状の改善点について、e-learningシステムを用いた地域の健康教育を介入前に実施した。介入はクラスターランダム化比較試験として、コミュニティーヘルスボランティアの仕組みを活用して展開している。介入に先んじて家計調査を実施し、研究対象クラスターを決定、介入前のマラリア感染率について、大規模横断的調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、依然として現地への渡航が制限されており、特に経済学チームの渡航が制限された。そのため、現地調査チームを遠隔でトレーニングし、家計調査、マラリアのベースライン調査を実施することとなった。介入試験の開始まで到達はできたが、予定よりも遅れた開始となった。
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Strategy for Future Research Activity |
着手した介入試験を継続し、その評価を完了させる。ケニア・ヴィクトリア湖周辺地域Suba South SubCountyを対象として、行動経済学的アプローチに基づいて、マラリア感染制御を達成した家計に対して報奨金を与えるスキームを展開中である。報奨金の支給方法については 、ゴールを達成した家計に対して一律支給する計画(Conditional Cash Transfer)と、達成した家計が高額の報奨金を得られるくじ引きへの参加権を得る計画(Lottery Incentive Scheme)について検討する。すでに、介入に先んじた家計調査を実施し、研究対象クラスターを決定している。今年度中に、インセンティブに基づいた適切な予防行動を促すため、正しく効果的なマラリア予防行動と現状の改善点について、e-learningシステムを用いた地域の健康教育を実施、そのうえで半年後のマラリア感染率、マラリア予防行動に効果があるかを検証する。研究成果は現地政府マラリア対策課とも共有し、政策提言の可能性についても検討を行う。
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Research Products
(1 results)