2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of information medicine through enrichment of information environment
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19H01093
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
本田 学 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第七部, 部長 (40321608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 情報科学 / 精神・神経疾患 / 健康増進 / 依存症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.齧歯類をもちいた情報環境エンリッチメントの作用機序の解明 高周波成分を豊富に含む音響情報が, マウスに与える影響について検討を行った. 音環境に使用した音の種類に応じて, マウスの活動性, 探索行動, ストレスレベルの指標である血中のコルチコステロン濃度が変化することを見いだした. 2.精神・神経疾患を対象とした情報環境エンリッチメントの臨床効果の検証 ハイパーソニック・エフェクトによって治療抵抗性のアンヘドニア症状の強いうつ病患者に対するCBTの効果が増強するかどうかについて検討するランダム化比較試験 (RCT)を継続した. 研究参加登録を完了した全目標症例数 (44例) のデータクリーニングおよびe-CRFへのデータ入力をすでに実施し, 第三者の外部生物統計学者による解析を実施した. ハイパーソニック・エフェクトが報酬系神経回路を活性化する点に着目し, アルコール依存症に対する治療施設としてはわが国を代表する国立病院機構・久里浜医療センターとの共同研究として実施した. RCTで集まった症例 (40例) の解析を行った結果, ハイパーソニック・エフェクトにより, アルコールに対する渇望感が有意に低下することが明らかになった. ハイパーソニック・エフェクトが持つ不安状態を低減する効果に着目し, 認知症の心理・行動症状 (BPSD) に対する新たな治療法開発を目的とした臨床研究については, COVID-19の影響により, 一切の臨床研究を中断せざるを得なかった. 今後, ワクチン接種の普及などにより, 状況が改善した折りに, 円滑に研究が再開できるよう, 複数の施設と共同研究に向けた打合せを実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19により、一部研究に遅れが生じたため、一部の研究費を翌年度に繰越して使用するなど適切に対応することで、1年の遅れのもとに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.齧歯類をもちいた情報環境エンリッチメントの作用機序の解明 音環境が自律神経機能に及ぼす影響を明らかにすることで、精神・神経疾患のみならず、広く生活習慣病に対する治療応用可能性を明らかにする。マウスに超高周波音響成分を含む音と含まない音を呈示しながら、心のネガティブ状態が強く行動に反映されると考えられる強制水泳テストや十字迷路テストなどの各種行動バッテリーを用いて行動変容を評価する。齧歯類を用いて、コルチコステロンやオキシトシンなどの神経内分泌系、交感神経系・副交感神経系を評価し、超高周波音による自律神経系と行動変容の相関関係を明らかにする。 2.情報環境エンリッチメントの臨床効果の検証 動物実験と同じく、音環境が人間の自律神経機能に及ぼす影響を明らかにすることで、精神・神経疾患のみならず、広く生活習慣病に対する治療応用可能性を明らかにする。健常被験者を対象として、超高周波音が自律神経機能に及ぼす影響を心拍変動、皮膚温、皮膚抵抗など複数の指標を用いて明らかにする。健常被験者を対象として、心拍変動推定タスクを用いることにより、超高周波が内受容感覚に及ぼす影響を明らかにする。加えて、糖尿病を想定して、超高周波音を含む音環境が健常被験者の耐糖能に及ぼす効果を明らかにする。
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Research Products
(8 results)