2020 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical simulation of ground motion by synthesized representation of transition between solid and liquid
Project/Area Number |
19H01094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
山口 裕矢 東北大学, 災害科学国際研究所, 助手 (20823579)
高瀬 慎介 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00748808)
金子 賢治 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30333834)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 土砂流動シミュレーション / 土質構成則 / 固液遷移挙動 / MPM / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
降雨により固体としての地山を支えている地盤から砂粒子のかみ合わせが外れて粘性流体かのごとく振る舞う物性変化をシームレスに繋ぐ数理モデルを構築し、地盤構造物の安定状態から崩壊過程を経て最終形態に至るまでを一気通貫で再現可能な数値シミュレーション手法の開発を継続した。具体的には、弾塑性材料としてのモデル化が適切な砂質地盤から、砂混じり水への遷移過程を含む材料構成則を定式化するとともに、MPMを固体材料挙動の表現性能がFEMと同程度になるように改良し、これらを組み合わせた解析手法を構築することに取り組んだ。「(f) 支える機能と流れる性能を表現するためのパラメータ同定およびキャリブレーション」および「(g) 固体から流体への遷移挙動の再現解析による開発したシミュレーション手法の妥当性確認」のための模型実験の再現シミュレーションを試みているが、数値解析の収束性が非常に悪いことが判明したため、計算プログラムの仕様を変更して改変した。
2019 年第3 四半期から始めてきたフェーズBにおける個別研究項目「(d) 地盤の固体から流体への遷移挙動の模型実験」の実験を継続して実施し、2020 年の第2 四半期には個別研究項目「(e) 大型水槽を用いた地盤の固体から流体への遷移挙動の模型実験」の実験を予定したが新型コロナ感染症の拡大を受けて2021年度に延期した。(d)の実施に際しては、地山あるいは盛土を模擬した模型地盤を作成し、逐次的に強度を失うように背後や上面から水を供給する装置などを考案するに止まった。したがって、フェーズCの検証データが取得できないことが分かったため、2020年第3 四半期からは、フェーズB(d) で取得したデータに照らしてフェーズA で開発した計算ツールのパラメータ同定とキャリブレーションを行うことを目的として、代替的に利用できるデータの取得を意図して文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020 年の第2 四半期には個別研究項目「(e) 大型水槽を用いた地盤の固体から流体への遷移挙動の模型実験」の実験に取りかかることになっていたが、コロナ感染症の拡大を受けて2021年度に延期した。これに伴って、地山あるいは盛土を模擬した模型地盤の作成、逐次的に強度を失うように背後や上面から水を供給する装置の考案までは行ったが、固体状態から流動が発生して形態の変化が収束するまでの計測ができなかった。具体的には、強固な固体としての地盤から徐々に軟弱化して流動が始まり、流れ始めて落ち着くまでの一部始終を高解像度カメラで映像に収めて地盤プロファイルの時間変化を捉えることができず、次の研究フェーズC における開発プログラムの妥当性検証のためのデータ取得が叶わなかった。
一方、開発を進めている計算プログラムも、不飽和土の力学挙動を固液混合体理論に基づいて定式化し、当初はこれを完全陰解法で解くことを予定していたが、期待していたより遙かに計算が不安定で、地盤が大きく変形するところまでを追跡できないことが判明した。このため、定式化を見直し、流体部分の解法には中間時間での圧力のみを陰的に解くFractional Step法を採用することにし、プログラム改変を行うことになり、手法の開発のスケジュールも大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年の第2 四半期には「(e) 大型水槽を用いた地盤の固体から流体への遷移挙動の模型実験」に取りかかることにする。ただし、未だ新型コロナ感染症の収束が見えないこともあり、引き続き、フェーズB(d) で取得したデータに照らしてフェーズA で開発した計算ツールのパラメータ同定とキャリブレーションを行うことを目的として、代替的に利用できるデータが取得できる文献調査を行い、データが整い次第数値解析の実施に移る。実験ができるようになった場合、水槽が八戸工業大学に設置してあることもあり、実験装置の設計や地盤模型の作成・設置など、実験・計測に関する作業はすべて金子・高瀬と大学院生(東北大学・八戸工業大学)が担当する。強固な固体としての地盤から徐々に軟弱化して流動が始まり、流れ始めて落ち着くまでの一部始終を高解像度カメラで映像に収めて地盤プロファイルの時間変化を捉えるとともに、何点かにマーカーを設置してモーションキャプチャ装置等で追跡してその軌跡を捉え、年度内のできるだけ早期に次の研究フェーズC「物性同定とシミュレーション手法の妥当性確認と実例の再現計算」に移行することを目指す。
以上の状況を踏まえ、フェーズCにおける「(h) 実際の土砂災害を対象とした再現計算による性能検証」のための数値解析は取りやめ、計算プログラムの完成と「(f) 支える機能と流れる性能を表現するためのパラメータ同定およびキャリブレーション」に注力し、「(g) 固体から流体への遷移挙動の再現解析による開発したシミュレーション手法の妥当性確認」については努力目標としたい。また、計算プログラムについては、陰解法に固執することは止め、半陰解法でもよいので、少なくとも上記(f)までは完了できるよう、本年度からプログラム担当として参画した野村に依頼し、合わせて担当の大学院生を指導する。
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Research Products
(7 results)