2019 Fiscal Year Annual Research Report
ビット化けを許容することで飛躍的な省エネ化を実現する計算機メモリシステムの研究
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19H01108
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
広渕 崇宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20462864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 了成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (10509516)
今村 裕志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究チーム長 (30323091)
荒井 礼子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50431755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Error Permissive / 不揮発性メモリ / 磁気メモリ / MRAM / 計算機アーキテクチャ / システムソフトウェア / Approximate Computing |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、電圧駆動磁気メモリ(電圧駆動MRAM)において、電圧印加による磁気異方性の変化量と電圧印加時間が書き込みエラー率(WER)与える影響について研究を行った。一定の仮定の下、数値シミュレーションを行った結果、WERが最小となる電圧値から電圧を正負にずらした場合、WERが非対称に変化することが分かった。また、製造時ばらつきとして磁気異方性に分布を持つMRAM群に対して、WERは磁気異方性分布とは明らかに異なる分布を示すことがわかった。 第二に、電圧駆動MRAMを想定して、ソフトウェアのメモリアクセスがメモリ素子におけるエラー発生率に対して与える影響について初期的な分析を行った。電圧駆動MRAMを用いたメインメモリのシミュレータを試作し、メモリ素子におけるエラー発生率を分析した結果、CPUキャッシュやメモリモジュール内のバッファの効果により、エラー発生率は大きく軽減されることがわかった。 第三に、信頼性が低いメモリデバイスをメインメモリの一部として使う手法についてシステムソフトウェアの研究を進めた。キャッシュサーバを拡張して、データに対するアクセス頻度に応じて、特性が異なる2種類のメモリデバイスを使い分けてデータを保存する機能を試作した結果、単純な使い分けアルゴリズム(LRU)の有効性を確認した。また、メモリアクセス検知処理の性能低下を抑えるため、最新のCPUが備えるメモリアクセス検知機構を我々のメモリ仮想化技術に対して試験的に実装した。 第四に、FPGAを用いてハイブリッド型メインメモリのエミュレーション技術を試作した。プロトタイプ実装の第一版においてメモリのレイテンシを十分再現できることを確認した。先行研究で開発した、CPUのパフォーマンスカウンタを用いたメインメモリエミュレーション技術について、詳細な性能評価を行ったほか、プログラムの整理を行い一般公開に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初ポスドクを雇用してプログラムを開発する予定であったが、採用を見込んでいたポスドクは採用には至らなかった。そこで、ポスドクの人件費として予定していた予算を用いて、プログラムの開発を役務による外注にて実施した。当初予定していた開発を同様に実施できたことから、研究計画を支障なく遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気メモリ群における書き込みエラー率について、製造時ばらつきを想定した理論解析を行い性能特性モデルの構築を進める。またそのモデルに基づいて、ビット化けを許容する計算機アーキテクチャやシステムソフトウェアが備えるべき機能やその設計手法について研究を進める。
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