2019 Fiscal Year Annual Research Report
元素経口曝露の健康影響をオーダーメイドで評価する新技術の開発
Project/Area Number |
19H01147
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10281073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 和宜 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10816242)
大神 信孝 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80424919)
田崎 啓 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80333326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 飲用井戸水 / 有害元素 / 健康リスク / 浄化材 |
Outline of Annual Research Achievements |
元素に汚染された飲用水の健康リスクを正確に評価するためには、「元素曝露状況を解明するフィールドワーク研究」と「環境の影響を受けた個体に対する実験研究」の両方を推進することが必要である。本研究では、元素の経口曝露により誘発される健康被害を予防することを目的とし、1)飲用水元素汚染の現状を把握するとともに、2)疫学研究と実験研究を組み合わせて、元素の健康リスクをオーダーメイドで評価できる技術を開発して浄化すべき元素を特定し、3)オーダーメイドで有害元素を吸着できる浄化技術を開発する 。さらに、途上国における研究成果を用いて、4)日本人における元素の健康影響を評価することで、日本に成果を還元することを目的としている。 本研究では、バングラデシュの飲用井戸水では、鉄濃度が高いことを示した。さらに、鉄の過剰摂取は、住民の聴力障害を誘発する可能性を報告した(Sci Rep 2019)。また、アフガニスタンの飲用井戸水では、リチウム及びボロンの濃度が高いことを示すとともに、リチウム(Sci Total Environ 2020)及びボロン(Environ Pollut 2020)の潜在的発癌毒性を示した。さらに、iPS細胞を用いて、水銀を例として元素の発生毒性をin vitroで評価できるシステムを開発(Chemosphere 2020)した。こうした研究実績が評価され、2019年度の日本衛生学会・学会賞を受賞し、飲用井戸水の健康リスクに関する研究成果は、学会賞受賞記念総説論文(Environ Health Prev Med 2020)としてまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染症のパンデミックにより、開発途上国におけるフィールドワーク研究は、余儀なくペンディング状態になっている。しかし、過去に採取した資料を、より新しい技術で、より詳細に解析することにより、この難局を乗り越える努力をしている。実際に、環境学におけるTop 10% Journalを数編公表しており、本研究は、おおむね順調に研究を進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
元素に汚染された飲用水の健康リスクを評価することを目的として、「元素曝露状況を解明するフィールドワーク研究」と「環境の影響を受けた個体に対する実験研究」の両方を推進する。 1)飲用水元素汚染の現状把握:コロナウイルス感染症の状況を勘案しながら、開発途上国におけるフィールドワーク研究を推進する。フィールドワーク研究が難しい場合は、過去に採取した検体を、より新しい技術で解析することで乗り越える。 2)元素の健康リスク評価と浄化すべき元素の特定:ICP-MSを用いて、元素取り込みに着目した細胞生物学実験を進める。さらに、LA-ICP-MSを用いて、臓器の元素分布を調べる動物実験を推進する。 3)浄化技術の開発:日本の基準に対応できる浄化材を開発し、開発途上国への技術移転の準備を進める。 4)日本人における元素の健康影響を評価:日本人の元素曝露状況を調べるとともに、微量元素曝露が健康に与える影響について、疫学実験で解明する。さらに、ヒトで得られた成果を、動物実験で検証する。
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[Journal Article] Multidisciplinary approach to assess the toxicities of arsenic and barium in drinking water2020
Author(s)
Kato M, Ohgami N, Ohnuma S, Hashimoto K, Tazaki A, Xu H, Kondo-Ida L, Yuan T, Tsuchiyama T, He T, Kurniasari Fitri、Gu Yishuo、Chen Wei、Deng Yuqi、Komuro Kanako、Tong Keming、Yajima Ichiro
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Journal Title
Environmental Health and Preventive Medicine
Volume: 25
Pages: 16
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Inhibition of mast cell degranulation by melanin.2019
Author(s)
Kawamoto Y, Kondo H, Hasegawa M, Kurimoto C, Ishii Y, Kato C, Botei T, Shinya M, Murate T, Ueno Y, Kawabe M, Goto Y, Yamamoto R, Iida M, Yajima I, Ohgami N, Kato M, Takeda K
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Journal Title
Biochem Pharmacol
Volume: 163
Pages: 178-193
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] For making a declaration of countermeasures against the falling birth rate from the Japanese Society for Hygiene: summary of discussion in the working group on academic research strategy against an aging society with low birth rate2019
Author(s)
Nomura K, Karita K, Araki A, Nishioka E, Muto G, Iwai-Shimada M, Nishikitani M, Inoue M, Tsurugano S, Kitano N, Tsuji M, Iijima S, Ueda K, Kamijima M, Yamagata Z, Sakata K, Iki M, Yanagisawa H, Kato M, Inadera H, Kokubo Y, Yokoyama K, Koizumi A, Otsuki T
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Journal Title
Environ Health Prev Med
Volume: 24(1)
Pages: 14
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Hearing loss in humans drinking tube well water with high levels of iron in arsenic?polluted area2019
Author(s)
He T,Ohgami N, Li X, Yajima I, Negishi-Oshino R, Kato Y, Ohgami K, Xu H, Ahsan N, Akhand A A, Kato M
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 9
Pages: 9028
DOI
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