2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation and application of hyperaccumulating functions of plants towards remediation of heavy metals contamination
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19H01158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 千弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30271878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 恵子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00420076)
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
鈴井 伸郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (20391287)
簡 梅芳 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20533186)
菅原 一輝 成蹊大学, 理工学部, 研究員 (60792405)
河地 有木 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (70414521)
國頭 恭 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (90304659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイパーアキュムレーター / 重金属汚染修復 / 遺伝子発現解析 / 元素マッピング / PETIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2種類のハイパーアキュムレーター(モエジマシダ:ヒ素(As)、ハクサンハタザオ:カドミウム(Cd))を用い、以下の4課題について取り組んだ。 課題1「有害元素吸収・耐性に関する機能遺伝子の同定と発現解析」:モエジマシダが保有するAs輸送と還元に関与する3つの遺伝子の発現解析を行った。このうちヒ酸(As(V))輸送体遺伝子PvPht1;3の転写はAs(V)存在下で誘導され、ヒ酸還元酵素遺伝子PvACR3はAs(V)の存在に関わらず構成的に転写され、 亜ヒ酸(As(III))輸送体遺伝子PvACR3はの転写はAs(V)存在下で誘導されることを解明した。 課題2「ハイパーアキュムレーターに吸収された元素の局在性イメージング」:Cd濃度を変えて栽培したハクサンハタザオの組織レベルと細胞レベルでの元素局在性とその経時変化を検討し、Cdが根と茎の可溶性画分に一時的に蓄積された後に最終的に葉に移行していくことを明らかにした。 課題3「ハイパーアキュムレーター内の有害元素の動態解析」:As(V)のみを含む短寿命ポジトロン発生同位体の74Asを用い、ポジトロンイメージング技術(PETIS)により、モエジマシダ体内でのAs輸送と蓄積過程の可視化を行い、モエジマシダの根茎がAs高曝露下では若い葉の成長を守るために成熟した葉へ積極的にAsを輸送するという転流の調節を担うことを明らかにした。 課題4「実圃場データの統計数理解析」:宮城県内の3か所の圃場でモエジマシダとハクサンハタザオの圃場試験を継続した。モエジマシダに関しては、根圏土壌の代謝産物と微生物、および植物中As濃度のデータのネットワーク解析を行い、有用微生物を植菌した土壌中の糖類濃度の増加が、汚染土壌から植物体へのAsの移行に関与している可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り、各課題とも当初計画を上回るペースで順調に進行しており、それに伴い多くの研究成果も得られている。その状況を端的に表す指標として、査読付き学術論文は2019年度は3報、2020年度は6報、2021年度は14報と当初予定以上のものとなっており、Journal of Hazardous Materials, Science of the Total Environment, Scientific Reportsなど環境科学分野の世界的に著名な雑誌に論文が掲載されている。また、現在審査中および投稿準備中の論文も数多く控えている状況である。新型コロナウィルス感染拡大に伴い、研究活動に一定の制約がかかる中での成果であり、高く評価できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1:モエジマシダとハクサンハタザオが保有するヒ素ないしカドミウムの輸送体遺伝子、およびそれらの結合体遺伝子について、これらの元素の添加直後から根、茎、葉、花茎といった部位ごとの発現量の経時変化を求め、課題2でえられた当該元素の植物体内分布の経時変化の結果と統合して、これらの元素の体内輸送メカニズムの解明を行う。 課題2:カドミウムを吸収させたハクサンハタザオの各部位ごとのカドミウムの分布状態を、凍結切片によるEPMA分析により明らかにする。その際に栽培条件や元素濃度を変動させた試料を用意し、比較を行う。 課題3:ポジトロンイメージング技術(PETIS)を用い、土壌中に固定されている金属元素が根を経由してハイパーアキュムレーターに吸収されていく過程を解析する。対象元素としてはポジトロン核種が長寿命の65Znを用い、人工的に合成した65Znを含む亜鉛鉱物を用いた実験を行う。 課題4:ハイパーアキュムレーターを栽培してカドミウムとヒ素の除去を検討した圃場試験を継続し、土壌と植物体の各種分析データと観測データを取得する。これらのデータをもとに、取得される高次元・大量の分析データを多変量解析により低次元化し、要因を支配する本質的な特徴を抽出する。本年度は前年度に行った圃場での時系列データを用い、機械学習の手法も取り入れた解析を合わせて行う。
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Research Products
(28 results)