2019 Fiscal Year Annual Research Report
ベルクソン『時間と自由』の総合的研究―国際協働を型とする西洋哲学研究の深化
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19H01190
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
平井 靖史 福岡大学, 人文学部, 教授 (40352223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 正人 明治大学, 文学部, 専任教授 (60170445)
安孫子 信 法政大学, 文学部, 教授 (70212537)
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (20303795)
檜垣 立哉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70242071)
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (80552207)
村山 達也 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50596161)
三宅 岳史 香川大学, 教育学部, 准教授 (10599244)
近藤 和敬 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90608572)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 哲学 / ベルクソン / 時間 / 自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、各分科会での活動に加え、大きな成果として、国内外で開催した国際的なワークショップによって、新しい国際協働体制を構築しつつ 具体的個別論点を深めることができた。 具体的には東京にてフランス人研究者二名を招いた「ベルクソンにおける持続とその数学的射程」(9/29、東京大学)、数理生物学や分析哲学などを含む新しい学際的なベルクソン研究を謳った「Physical Time, Biological Time: Bergsonism Today」(10/24-25、トゥールーズ大学)、記憶の分析哲学とベルクソンの記憶理論の専門的なレベルでのコラボレーションとなった「Remembering: Analytic and Bergsonian Approaches」(10/28-29、グルノーブル大学)、国際ベルクソン協会主催の新講義録刊行記念ワークショップ(11/29、パリ、コレージュ・ド・フランス)など、学際的な広がりを持つ海外の研究者たちとの交流が一段深いレベルに達したと言える。 その証として、2019年11月に発足したグローバル・ベルクソン・プロジェクト(GBP)による全世界規模研究網の増強に中心的な役割を果たすことになった点や、グルノーブル記憶の哲学センター(CPM)のメンバーと 、今後の研究協力として第二弾のワークショップの開催にむけてフランス国内の競争的資金への共同申請を行うなど、これまでにない国際協力関係を築くに至ったことが特筆できる。 他方で、年度末に予定していた日仏哲学会におけるワークショップ「ベルクソン『試論』の思想史的ポテンシャルを探る」、またロンドンにて 開催を準備してきた二日間のワークショップ「Time, Freedom, and Creativity」については、新型コロナウイルスの影響により開催を断念せざるを得なかったのが悔やまれる点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今期の科研費・基盤研究(B)(一般)『物質と記憶』研究において開拓した新しい学際的協働研究体制を、各論レベルで掘り下げるという今期の研究目標について、昨年度から準備していた各種ワークショップのそれぞれにおいて、具体的な手応えを得ることができた。また、上述のGBPやCPMとの関係において、今後の研究の発展につながる提案も双方向でなされており、計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
パンデミックの影響は甚大で、昨年度末のロンドンと東京のワークショップ2件に加え、2020年5月に予定していたベルクソン『時間観念の歴史 コレージュ・ド・フランス講義』の合評会についても、現時点ですでに延期の判断をしたところである。この状況がいつまで続くのか不透明であるが、まずは延期された上述の三つのイベントについて、可能になり次第改めて開催をしたいと考えている。具体的には、日仏哲学会については秋の大会日程に合わせた開催を、ロンドンについては一年後の同時期の開催を検討している。また講義録の合評会およびグルノーブルCPMとの第二弾については、災厄が長引くケースを想定してオンラインでの開催を検討中である。 2019年度11月の国際ベルクソン協会の際のパリでの集会において、全世界規模でのベルクソン研究の連携を図るグローバル・ベルクソニズム・プロジェクトが発足し、2020年11月には米国・ペンシルバニア州で、本科研費最終年度に当たる2021年度には日本での国際大会の開催が決定している。今年11月のアメリカでの大会には、代表と分担者数名が参加予定である。2021年は日本での開催が予定されており、その準備も進めていく。 昨年度に引き続き、グループごとの研究会(他のグループからの参加を妨げない)を各二回開催し、本科研に関わる各メンバー各自の研究についてあらためて共有を図るとともに、密接な連絡を取り合いながら研究を掘り下げていく。また、最終年度に開催するシンポジウムについて基本的指針を策定する。各分科会で議論を掘り下げるのみならず、相互の連携を深めていくことで、全方位的な研究体制をさらに確固たるものにしていきたい。
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Research Products
(45 results)