2019 Fiscal Year Annual Research Report
戦国秦漢簡牘の総合的研究─安大簡・清華簡・上博簡・北大簡を中心として─
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19H01193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯浅 邦弘 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30182661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 健二 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10197303)
福田 哲之 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10208960)
中村 未来 福岡大学, 人文学部, 講師 (50709532)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 中国古文字学 / 安徽大学竹簡 / 清華大学竹簡 / 出土文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究成果としては、特に以下の二点をあげることができる。 第一は、新出土文献「安徽大学竹簡」への対応である。2019年9月に『安徽大学蔵戦国竹簡(一)』が刊行され(日本への輸入は同年10月)、ただちに釈読を開始した。代表者の湯浅邦弘は、その第一分冊所収の『詩経』について研究を進め、その章次(各篇内の章の順番)が現行本『毛詩』としばしば異なることに着目し、その原因を探るとともに、戦国時代の『詩経』の文献的意義、およびその戦国時代写本を経て漢代に『毛詩』が確立するまでの過程について考察した。その論文草稿「安大簡『詩経』の章次転倒について」は、武漢大学簡帛研究中心の求めに応じて提出して受理された。英語に翻訳した後、2020年1月に『簡帛』英語版で刊行される予定である。 第二は、中国古文字研究の拠点吉林大学の訪問である。2019年8月31日~9月3日の日程で吉林大学を訪問し、以前から国際学会の折などで面識を得ていた馮勝君氏、單育辰氏、李松儒氏らと学術交流を行った。同大学の古籍研究所において学術講座として開催された研究会では、代表者の湯浅が「清華簡《邦家之政》与儒墨的思想」として研究発表を行い、また、分担者の福田哲之、竹田健二もそれぞれの研究発表を行った。いずれも、中国人研究者との質疑応答を通して極めて有意義な研究成果が得られた。 さらに、2020年2月29日~3月1日の日程で、大阪大学で開催した研究会では、新型コロナウィルス感染が危惧される中、全員マスクを着用し、部屋の換気と除菌に努めつつ、メンバー全員が研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目玉としていた安徽大学竹簡(安大簡)が2019年9月に『安徽大学蔵戦国竹簡(一)』として刊行され、ただちに釈読を開始し、論文草稿を執筆するに至った。また清華簡についても代表者・分担者ともそれぞれの視点から研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
公開済みの『安徽大学蔵戦国竹簡』第一分冊、および『清華大学蔵戦国竹簡』第六分冊~第八分冊までの釈読をさらに進めたい。また、安大簡、清華簡、北大簡、上博楚簡とも、新たな分冊が刊行された際には、ただちに釈読を開始したい。 なお、毎年夏頃に実施している海外学術交流については、新型コロナウィルスの感染状況を見定め、慎重に判断したい。もし海外渡航を見合わせる事態となった場合には、研究メンバー個々の釈読作業と国内での研究会合を重視したい。また国内での読み合わせの会合等についても、オンライン会議のシステムを活用することも考えたい。
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