2021 Fiscal Year Annual Research Report
戦国秦漢簡牘の総合的研究─安大簡・清華簡・上博簡・北大簡を中心として─
Project/Area Number |
19H01193
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯浅 邦弘 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30182661)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 健二 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10197303)
福田 哲之 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10208960)
中村 未来 福岡大学, 人文学部, 准教授 (50709532)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中国哲学 / 中国古文字学 / 安徽大学竹簡 / 清華大学竹簡 / 出土文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究活動が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、大きな制約を受けた。これにより予定していた中国渡航ができなくなり、竹簡を所蔵する機関(安徽大学、清華大学、上海博物館、北京大学など)、および出土文献の拠点となっている大学(武漢大学、復旦大学、吉林大学など)への訪問はすべて中止せざるを得なかった。 そこで、やむを得ず繰越申請を行い、若干の期間延長を認められたので、研究計画を練り直し、中国渡航の際に入手する筈であった諸資料・文献を、中国図書を専門とする代理店を経由して購入することに努め、また国内での研究会合を推進することによって、かろうじて当初予定の資料解読や考察を実現することができた。 令和3年度は、この繰越申請分の研究を推進すると同時に、やはり海外渡航計画を中止し、国内における文献読解と研究会合を主体とするよう計画をやや変更した。 具体的な成果としては、代表者の湯浅邦弘は、先に英語版で発表した安徽大学戦国竹簡『詩経』に関する論文を基に、さらにその後の知見を加えて大幅に修訂し、日本語版として発表した。日本では、清華簡『詩経』に関する初の専門的論文である。 また、清華大学蔵戦国竹簡第十一分冊として公開された『五紀』について釈読を進め、Zoomオンライン形式で実施した研究会で発表するとともに、論文執筆を進めている。 研究分担者もそれぞれ着実に研究を推進することができた。分担者の福田哲之は、古文字学研究の立場から、清華簡『邦家之政』を手がかりとして、戦国竹書の用字・書法と書写者について検討を進め、論文として発表した。また竹田健二は、従来からの課題である竹簡背面の劃痕に注目し、清華簡『詩経』の竹節と劃痕に関する知見をオンライン研究会で発表するなど、共同研究全体として研究を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、予定していた中国渡航ができなくなったが、そこで入手する筈だった資料は国内の代理店を経由して何とか入手することができ、国内会合をオンライン形式で実施することによって、おおむね計画を達成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
公開済みの新出土文献に加えて、刊行予定の新たな文献の釈読に着手したい。また、この共同研究を開始する前には情報がなかった海昏侯漢簡、荊州胡家草場漢簡なども刊行間近との情報を得ているので、公開され次第、釈読に着手したい。なお、新型コロナウイルス感染拡大によって海外渡航が引き続き困難となった場合には、国内会合やオンライン研究会を中心とする計画に柔軟に変更し、資料の入手についても国内の代理店に依頼するなど、万全の態勢を整えたい。
|