2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Meaning and Materiality of Images in Christian Art: Toward a New Conception of Iconography
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19H01212
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木俣 元一 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00195348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 重洋 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00293275)
駒田 亜紀子 実践女子大学, 文学部, 教授 (00403866)
水野 千依 青山学院大学, 文学部, 教授 (40330055)
秋山 聰 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50293113)
赤江 雄一 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (50548253)
奈良澤 由美 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60251378)
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 図像学 / キリスト教 / イメージ / 物質性 / エージェンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年年度は本研究実施計画の初年度にあたり、9月29日に、研究代表者と研究分担者が集まって、第1回の研究打ち合わせを名古屋大学人文学研究科で実施し、参加者から関心を持っている研究テーマの報告があり、今後の研究の計画、方向性、実施体制等に関して綿密に協議を行い、課題を共有することができた。また、11月24日に、研究代表者と研究分担者が集まって、第2回の研究打ち合わせを名古屋大学人文学研究科で実施し、第1回に引き続き、参加者から関心を持っている研究テーマの報告があり、今後の研究の計画、方向性、実施体制等に関して綿密に協議を行い、課題の共有をさらに深めることができた。研究代表者は、9月14日から25日まで、イメージの物質性に基づく行為遂行性という観点から、キリスト教美術におけるイメージがその物質性ゆえに空間的・社会的ネットワークの中に他の人工物・自然物・人間とともにエージェントとして布置され、多種多様な宗教的経験(礼拝・祈念・黙想等)と一体化して意味が産出される様態を事例研究によって考察することを目指して、フランスでの現地調査を実施し、パリ、サント=シャペル、サン=マルタン=デ=シャン修道院聖堂、サン=ジェルマン=デ=プレ修道院聖堂、シャルトル大聖堂、サン=ブノワ=シュル=ロワール修道院聖堂などでの、聖堂の建築空間とステンドグラス及び彫刻、祭壇、聖遺物などのインスタレーションとの関係に関するデータの収集を進めるとともに、とくにサン=ドニ修道院聖堂ではフランスの美術史及び考古学を専門とする研究者2名とともに修道院長シュジェールにより建造された西正面上階と廻廊の調査とディスカッションを行った。初年度であるため数は多くはないが研究成果を雑誌論文、図書、国際シンポジウム等を通じて公表を進め、事例研究に関する資料収集も進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は本研究実施計画の初年度に当たるが、研究代表者と研究分担者が集まって協議する機会を2回にわたり設けることができ、全員が研究の方向性を十分に共有し、課題の理解を深めることができたことが、今後の充実した研究活動の前提として重要であるように思われる。また、当初の予定通りにフランスでの海外調査を実施し、キリスト教の聖堂空間におけるステンドグラスや彫刻、祭壇や聖遺物容器などのインスタレーションに関する資料収集を十分に進めることができ、フランスの研究者たちとの意見交換も行うことができたことも意義のあることである。また、初年度であるため成果の公表数はさほど多くはないが、それでもかなりの数の成果を挙げることができた。今年度進めることができた様々な研究活動の成果については、2020年度以降において、さらに数多く公表できることが期待される状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな図像学の構想に向けて、本研究課題の遂行と平行して、図像学(イコノグラフィー)という方法論に関してとくに19世紀から現在に至るヒストリオグラフィ―の整理を行うことも、今後研究を深化させるための前提として必要不可欠であると考えている。 2020年度にはとくにイメージのマテリアリティが関与する多種多様な契機(巡礼・行列・礼拝・祈念・黙想・典礼等の実践、知識の伝達・説得、記憶・思考・感情操作、発声・身ぶりの誘導等)において、宗教的経験と一体化して様々な意味が産出/豊富化される様態やプロセスを明らかにするに重点を置くことにしたい。 最終年度(2023年度)終了時までには共著の形で研究成果をまとめられるよう、段階的に準備をすすめていくことを予定している。 コロナウィルスの感染リスクを回避するためには、研究代表者と研究分担者が集まって研究打ち合わせを実施することが困難であることから、zoomなどを用いてオンラインで打ち合わせを行うことが必要である。また同様に、セミナー、シンポジウム、講演会などの形態で研究成果の公表を行うことには慎重な対応が求められることから、研究成果の公表形態について再検討を行っていきたい。さらに、海外調査の実施についても慎重に考慮していく必要がある。状況により、研究経費の次年度への繰り越しについても柔軟な判断が求められると認識している。
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Research Products
(9 results)