2019 Fiscal Year Annual Research Report
公武の信仰を統合した足利将軍家の宗教政策からみる室町時代の宗教絵画の包括的研究
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19H01218
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
畑 靖紀 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (80302066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 室長 (70567031)
鷲頭 桂 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (90590448)
井戸 美里 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (90704510)
古川 攝一 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (70463297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顕密絵画 / 禅宗絵画 / 神道絵画 / 室町水墨画 / 室町絵巻 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本文化のモデルとして現代まで継承される室町文化の特質を解明するために、足利将軍家の宗教政策に注目して仏教・神道絵画の歴史的な意義を研究する本研究において、当該年度は、研究実施計画に即して、計画会議と合同調査、公開シンポジウムを開催し、調査・研究の成果を公表することができた。 まず令和元年7月20日・21日には、九州国立博物館で代表者・分担者・協力者の全員が参加した計画会議及び第1回合同調査を開催し、今年度及び次年度以降の計画を協議し、同館所蔵の絵画作品を特別観覧した。 さらに同年11月15日・16日・17日には、山口県内で代表者・分担者・協力者の全員が参加した第2回合同調査を開催し、洞春寺・山口市歴史民俗資料館・山口県立美術館・周防国分寺・龍蔵寺が所蔵する絵画作品を調査した。 なかでも同16日には、山口県立美術館で雪舟の仏画展実行委員会と共同主催の公開シンポジウム「室町水墨画における中国道釈画の受容」を開催し、梅沢恵氏(神奈川県立金沢文庫)・西谷功氏(泉涌寺宝物館心照殿)・塚本麿充氏(東京大学東洋文化研究所)を招聘し、代表者の畑、分担者の荏開津も登壇し、研究発表及びパネルディスカッションを行った。本シンポジウムでは、主に禅宗絵画の分野について1回合同調査および個人調査の研究を踏まえて発表を行ったが、当日は研究者から一般市民まで51名の聴講者を向かえ、広く研究成果を公表するという社会的な使命を果たすことができ、大きな収穫を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
7月の計画会議を踏まえ、海外調査を、申請書の時点で予定していた台湾調査から中国江南調査に変更し、令和2年3月15日から3月21日まで中国江南(上海・杭州・寧波市内及び普陀山)において代表者・分担者・協力者の全員が参加する文化財調査を計画して準備を進めていた。しかし令和2年2月4日、中国で新型コロナウイルスの感染が拡大している事情により今回の海外調査を取り止め、同2月18日に様式C-26「繰越(翌債)を必要とする理由書」を提出して、中国江南における海外調査を令和3年に延期した。そのため当初計画していた海外調査が遂行できなかった部分においては進捗状況はやや遅れていると判断される。 一方で、11月16日開催の公開シンポジウムは、本研究の計画段階では、研究期間の最終年度を念頭に準備を進めていた研究報告会の一つであり、当初の計画以上に調査研究が進展したことをうけて開催が可能となったものである、 よって以上の状況を勘案すると、当初予期していない事態や研究の進展が発生しているものの、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以上の進捗状況を踏まえ、本研究では今後、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、事情の許す段階で速やかに中国江南調査を遂行できるよう準備を整えたい。さらに今年度、集中的に取り組んだ禅宗絵画の調査研究に加え、同様に重要な課題である顕密絵画および神道絵画の分野についても調査研究を積極的に推進し、各年度に開催する研究報告会や最終年度に計画している公開シンポジウムにおいて、その成果を広く公表することを目指して調査研究を遂行したい。
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Research Products
(13 results)