2020 Fiscal Year Annual Research Report
公武の信仰を統合した足利将軍家の宗教政策からみる室町時代の宗教絵画の包括的研究
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19H01218
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
畑 靖紀 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (80302066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 攝一 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (70463297)
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 室長 (70567031)
鷲頭 桂 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (90590448)
井戸 美里 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (90704510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顕密絵画 / 禅宗絵画 / 神道絵画 / 室町水墨画 / 室町絵巻 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本文化のモデルとして現代まで継承される室町文化の特質を解明するために、足利将軍家の宗教政策に注目して仏教・神道絵画の歴史的な意義を研究する本研究において、当該年度は、研究実施計画に即して、計画会議と合同調査を開催することができた。 令和2年9月24日には九州国立博物館で代表者・分担者・協力者の全員が参加した計画会議を開催して今年度及び次年度以降の計画を協議し、同24日から26日まで九州国立博物館、中津市歴史博物館・大分県立歴史博物館、如法寺・求菩提資料館・羅漢寺において第1回合同調査を開催し、各館所蔵の文化財を特別観覧し、現地調査を遂行した。 その一方で、計画会議において協議していた令和3年1月9日の室町宗教絵画科研令和2年度研究会「室町時代の観音懺法と観音変相図」と同10日・11日の第2回合同調査は、新型コロナウイルスの感染拡大のために開催を延期せざるを得ない事態となった。 これをうけて当該年度の研究費を令和3年度に繰り越しする方針を決定し、これが承認されたのちに令和3年10月22日に鎌倉国宝館において室町宗教絵画科研研究会「室町時代の観音懺法と観音変相図」を開催し、立畠敦子氏(佐賀県立佐賀城本丸歴史館)、高橋真作氏(東京国立博物館)を招聘し、代表者の畑、協力者の荏開津も登壇し、研究発表及びパネルディスカッションを行った。本研究会は、会場や感染状況の事情により、参加者を発表者と科研メンバーだけに限定したものではあったが、主に禅宗絵画の分野について合同調査および個人調査の研究を踏まえて発表を行い、とくに当該分野に最も詳しい知見をもつ発表者の最新の研究成果を共有することができ、大きな収穫を得ることができた。 また同23日・24日には、鎌倉国宝館で代表者・分担者・協力者の全員が参加した合同調査を開催し、建長寺・円覚寺・光明寺所蔵の寄託品を中心とする絵画作品を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9月の計画会議を踏まえ、当初は令和3年1月に鎌倉国宝館等において代表者・分担者・協力者の全員が参加する研究会及び文化財調査を計画して準備を進めていた。しかし令和2年12月に日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大している事情により今回の予定を取り止め、令和3年2月9日に様式C-26「繰越(翌債)を必要とする理由書」を提出して、研究会及び文化財調査を令和3年に延期した。そのため当初計画が変更を余儀なくされてはいるが、想定した時期とは異なるものの、令和3年度に本研究会及び文化財調査は内容的にはほぼ計画通り遂行されている。よって以上の状況を勘案すると、当初予期していない事態や研究の進展が発生しているものの、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以上の進捗状況を踏まえ、本研究では今後、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、事情の許す限り国内における文化財調査を遂行できるよう準備を整えたい。さらに今年度、集中的に取り組んだ禅宗絵画の調査研究に加え、同様に重要な課題である顕密絵画および神道絵画の分野についても調査研究を積極的に推進し、各年度に開催する研究報告会や最終年度に計画している公開シンポジウムにおいて、その成果を広く公表することを目指して調査研究を遂行したい。
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Research Products
(7 results)