2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01225
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
原 瑠璃彦 青山学院大学, 総合文化政策研究科, 研究員 (20839534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆之 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, YCAM InterLab課課長 (10793656)
津田 和俊 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, 専門委員 (40545076)
高原 文江 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, YCAM InterLab課職員 (40793659)
城 一裕 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80558122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 庭園 / アーカイヴ / 3Dデータ / DNA / バイオテクノロジー / サウンド・スケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は日本庭園の総合的アーカイヴの構築に向けて様々な試行錯誤を行なった。対象となる庭園は予定通り、本研究の拠点・山口情報芸術センター(YCAM)に近い常栄寺庭園である。本年度は定期的に常栄寺庭園に赴き、庭園の様々なデータを取得すべく、3Dスキャン、庭園内の池の水、土壌、植物の葉、苔類などのサンプル採取によるDNA解析、そこに生息する生物あるいは生息していたであろう生物の推定、庭園の各所でアンビソニックによる立体的な録音を試みた。また、鉱物の専門家に協力を得て園内の石の種類の推定や、日々庭園管理を担う庭師のインタビューの収録を行なった。そのほか常栄寺住職、山口市文化財保護課に協力を得て、常栄寺庭園に関係する図像資料などの収集も行うことができた。とくに3Dスキャンに関しては、その手法に試行錯誤が必要であり、度々現地で実験を行うこととなった。 常栄寺庭園で多様なデータを取得するとともに、それらをどのように一つのインターフェースにまとめていくかを研究分担者と議論を重ねた。そこでは、実証的データによる庭園のアーカイヴだけでなく、その庭園における人々の記憶なども含み込んだ「多層的アーカイヴ」こそが目指されるべきという結論に至った。 本研究では将来的にウェブサイト上に、庭園の総合的アーカイヴを公開することを予定しているが、実際のインターフェース開発に関しては、プログラマーに協力を仰ぐことで、そのプロトタイプを開発することができた。 本年度の研究成果について直接的な成果を年度内に論文・研究発表を行うには至らなかったが、本研究の主旨と現状報告を兼ねたリーフレット「庭の新しいアーカイヴをめざして」を発行した。また、YCAMコミュニティ・スペースで行われた展示「YCAMバイオ・リサーチ[リサーチ・ショーケース]vol.2」(11月16日~1月13日)においてパネル展示を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本庭園の多様な側面をデータ化するにあたって、本年度は常栄寺庭園を対象として様々な実験を実施することによって、続く2年間の研究を進めるにあたっての具体的な方法論と目標地点が明確になった。また、これらの多様なデータをまとめるにあたってのソフトウェア開発も順調に進み、そのプロトタイプを開発することができ、今後の研究に大きな見通しがついた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、常栄寺庭園のデータ取得においてもまだ試行錯誤段階であったため、その経験も踏まえ、次年度は、引き続き常栄寺庭園でのデータ取得を継続してゆく。日本の庭園は季節の推移が一つの重要な要素であるため、それを踏まえたデータ取得を行うことが必要である。次年度は、これらのメソッドを定めてゆくことになるだろう。 また、次年度は当初の研究計画に従い、新たに京都の某庭園を対象とし、その庭園の多様なデータ取得を行なってゆく。この庭園は、常栄寺庭園と様式や規模が全く異なるため、新たな試行錯誤が必要と思われる。また、それによって目指すべき総合的アーカイヴのあり方も更新される可能性がある。 次年度は、これら二庭園を対象としたデータ取得を行なっていくわけだが、同時に、それらの「総合的アーカイヴ」をウェブ上で公開してゆくべく、本年度に引き続きプログラマーとともにインターフェースの研究開発を行う。また、ウェブサイトの技術者にも協力を仰ぎ、ウェブサイトの構築も進めてゆく予定である。 また、次年度は、日本庭園の多様な側面、またそれをアーカイヴする方法や意義を考究するために、定期的に研究協力者とともに研究会を開催する予定である。
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Research Products
(4 results)