2020 Fiscal Year Annual Research Report
金剛寺摩尼院聖教の調査を基盤とした日本中世の宗教的知の流通と蔵書形成に関する研究
Project/Area Number |
19H01235
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80346155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
箕浦 尚美 同朋大学, 文学部, 准教授 (70449362)
近本 謙介 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90278870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 密教寺院 / 中世日本 / 蔵書 / 知識 / 学問 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の提示する下記の3点のテーマにおける本年度の実績は下記の通りである。 1)摩尼院所蔵典籍・文書類の目録化及びその蔵書史的記述:摩尼院経蔵から搬出し、破損状態の確認と簡易クリーニングを行い、アーカイバルボックスに移した資料の調査を行い、調査カードを作成した。全世界的疫病の流行により調査時期および参加人数が制限されたが、感染拡大に注意しつつ可能な範囲で調査を行ない、当該年度までに1165点のデータを採取した。 2)南河内地域の寺院ネットワークと知識流通の解明:調査によって見えてきた学問寺院としての金剛寺にとって重要な意味を持つ典籍群のうち、摩尼院伝来資料を併せ見ることで新たな視界が開ける可能性を有する資料群を重点的に検討し、平安時代末から室町時代にわたる南河内地域の寺院における知識の流通構造の解明を目指し、摩尼院及び金剛寺に伝来する、天台宗・浄土教関係の典籍及び根来寺に由来する真言典籍類、神道関係の典籍類の調査に基づき、関連寺院のマッピングを継続した。 3)摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究:「寺院」や「経蔵」を対象とした調査により見出された大量の典籍・文書の存在により、前近代日本の文化的活動に対する理解が変わりつつある。研究活動の国際化と研究視角の多様化に伴い、寺院文化圏を対象とした研究も在外研究者との協働による成果が従来以上に期待されるようになってきているが、当該年度においても、全世界的疫病の流行により原本資料の実見と調査とを踏まえた国際共同研究を行うことは難しいと判断し、延期することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
摩尼院経蔵の調査は、全世界的疫病の流行により予定していた夏期・冬期の大規模調査の開催ができず、当初の見込み点数の調査量に達していないが、データ採取のための撮影を先行させるなどの調査方法の見直しを行い、実物資料を対象としなければ採取できないデータ以外のデータ取得と整理を行った。摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究の観点からの国際ワークショップの企画については、現物資料の実見を前提としたものであるため、その理解を共有できる段階まで延期することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
摩尼院経蔵の調査については、本年初頭より全世界で流行している疫病がおさまらない限り、10名を越える調査員と調査補助者が集合して資料を整理しつつ調査カードを作成するという形で行ってきた従来の方法での調査を継続することは難しいように思われるが、政府及び地方公共団体等の示すガイドラインと所蔵者の意向を確認しつつ、安全確保の方法を検討し、中規模な調査を再開したい。また、画像データ作成を先行する等の方法で遅滞の解消を引き続き図りたい。 摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究の観点からの国際ワークショップの企画についても、状況の改善を待って今一度開催の企画を進めたい。
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Research Products
(2 results)