2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sinophone as Method: Reconstruction of the History of Modern and Contemporary Chinese Literature
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19H01236
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 麻矢 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90293951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 容子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (10434359)
及川 茜 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (40646725)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイノフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍の影響で対面での活動は行わず、各自がそれぞれのテーマに沿って個別に研究活動を続けた。 代表者の濱田は東アジア文学における性暴力の描写に目を向けた。論文「日中のMetooと文学」を中国の査読誌『日本学研究』に発表し、台湾における政治と性の表象について、朱天心の作品を対象として台湾・中国文化大学主催のオンラインシンポジウムで報告を行った。またこの一年で新たに浮上した疫病と差別の問題について、結核・スペイン風邪・エイズという疾病を取り上げて北京外国語大学のオンラインシンポジウムで報告を行い、活発な討論の中で新たな手がかりを得た。疫病については上海・復旦大学主催のオンラインシンポジウムでも報告し、さらに進めてゆくべき手がかりを得た。 田村は人民共和国の文芸におけるソ連の影響についての分析を進め、中国映画における『白鳥の湖』の特異性について論文を執筆した。さらに中国映画におけるソ連の記憶について、東京外国語大学主催のオンラインプログラムや日本ロシア文学会のワークショップなどで報告を行った。 及川はサイノフォンの角度から江戸時代の文人、都賀庭鐘をとりあげた論文を発表した。またオンライン研究会でマレーシア文学における華人とムスリムの立ち位置について研究報告を行った。さらに関連する中国語作品の翻訳を精力的にすすめた。 対面で相談することは叶わなかったが、三人がともに関わっているサイノフォン文学アンソロジーの翻訳は全て揃い、「サイノフォン」について世に問う準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた海外調査やワークショップなどが全て流れてしまったために、当初の計画はかなり狂ってしまった。特に中国や台湾、マレーシアへの渡航が全くできなくなってしまったために、現地でなければ手に入らない情報にはアクセスできない状態が続いている。
そこで、本研究課題についても、作品研究により重点を置くこととし、座学で遂行できることから着手することにした。また、オンライン会議のノウハウを獲得し始めてからは、海外の研究者にもリアルタイムでインタビューすることが可能になった。幸いテクストの分析や翻訳はコロナ禍の影響を受けることもなく順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年についても移動、特に海外への出張は大変困難だろうと考えている。本課題は5年計画の3年目に入るが、対面を重視したいインタビューやシンポジウムは、できるだけ4年目以降に企画することとし、今年も人の移動なしで可能な作業に集中することにしたい。ただ、経験も積んだので、リアルタイムでのオンライン会議も排除するのではなく、手段の一つとして利用を考えていくことにする。 分担者の及川が退職に伴って協力者となったが、江戸漢文学やマレーシア華人文学が本研究課題の重要なジャンルであることには変わりがない。今後も三人での合同研究を積極的に進めてゆくと同時に、代表者・分担者で協力者へのできる限りの便宜を図りたい。 具体的に以下のような計画を考えている。
○『サイノフォンアンソロジー』出版に合わせて海外の研究者・創作者とのオンラインシンポジウムを企画する ○『サイノフォン』を『世界文学』の一環と捉え、より広範囲な文学研究者との対話を試みる
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Research Products
(10 results)