2022 Fiscal Year Annual Research Report
Sinophone as Method: Reconstruction of the History of Modern and Contemporary Chinese Literature
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19H01236
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 麻矢 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90293951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 容子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (10434359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイノフォン / 華語文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究にあたっての目標の一つでもあった翻訳アンソロジー『華語文学の新しい風』を2022年11月に出版することができた。サイノフォンテクストが不可避的に抱える地理的政治性とともに、それぞれのテクストがもつ豊穣な文学性について紹介し、詳細な前言と解説を付すことによって、現在のサイノフォン研究について広く世に問うことができた。 2023年3月には本書についてのオンラインブックトークを開催して北米、香港からスピーカーを招き、創作者および研究者の両サイドが語るサイノフォン(華語)文学についての知見に耳を傾ける機会を持った。100に届くオーディエンスが参加し、質問も活発に飛び交って、一般読者を含む日本の学術界にサイノフォンへの関心を呼び起こした。 また、同じく3月には越境文学・語圏ネットワーク研究集会にパネル参加をし、台湾・マレーシア・アメリカ・チベットといった地域で生まれたテクストとサイノフォンをテーマに、他語圏の研究者と一国一文学を超えた語圏文学研究の可能性について討論を重ねた。 このようにサイノフォンの概念そのものを掘り下げるのと並行して、個別のサイノフォン作家およびテクストについての研究も進行させた。特にジェンダーについては、謝冰心・白薇といった女性作家、魯迅『祝福』、馮徳英『苦菜花』などのテクストに現れる母親像、京劇やバレエに現れる女性形象、現代社会における性的暴力の描かれ方などについてアプローチを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの出版を果たしたサイノフォンアンソロジーが好評で迎え入れられ、サイノフォンや華語文学という概念の定着に貢献することができた。 当初予定していた海外交流はいまだ対面では実現できていないが、オンラインを通じて各地の研究者との連絡は継続して進められており、ワークショップやシンポジウムでの研究交流はむしろ活発になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度になる2023年度には、現在まで進めてきた翻訳や研究のアウトプットをさらに強化したい。具体的には、中国や台湾、韓国の研究者との連携をはかり、ジャンル横断的にサイノフォン研究を進めてゆく。パンデミックが収束すれば、対面を中心とする国際シンポジウムを開催して、サイノフォン研究、特にジェンダー問題との関連についてアウトプットをはかりたい。
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Research Products
(13 results)