2021 Fiscal Year Annual Research Report
娯楽文化史からとらえるエリザベス朝演劇―社会変化が生みだす総合エンターテイメント
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19H01238
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
篠崎 実 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (40170881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 雅之 文教大学, 文学部, 准教授 (00614992)
中野 春夫 学習院大学, 文学部, 教授 (30198163)
丹羽 佐紀 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40244272)
岩田 美喜 立教大学, 文学部, 教授 (50361051)
末廣 幹 専修大学, 文学部, 教授 (70264570)
松岡 浩史 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80780048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エリザベス朝演劇 / 大衆劇場 / 見世物 / シェイクスピア / 娯楽産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年8月にオンラインで、2023年3月に福岡大学で、ともに売春業や呼び売り商人、大道芸などの娯楽文化とエリザベス朝演劇の関係を話題とする、本研究のメンバーによる研究発表(8月1本、3月1本)と招待発表(1本)、招聘研究者による講演(各1本)を内容とする研究会を開催した。 各メンバーは、娯楽産業としてのエリザベス調演劇のあり方や、演劇産業と娯楽産業の関係に関する研究成果を、British Shakespeare Association Conference、シェイクスピア学会や日本英文学会大会、上記研究会などの場であわせて8本のセミナー発話、シンポジウム発話、研究発表として口頭で発表した。扱われた話題は売春業、大道芸などの娯楽産業の演劇作品における表象などである。 各メンバーは、本研究の研究成果に基づき、6点の論文を発表した。扱われた内容は、居酒屋、歴史劇『リチャード二世』における大衆劇場的想像力、エクソシズムの演劇表象、余バラッド売りの演劇表象、大衆劇場における検閲の実態などである。 こうした研究成果によって、本研究の課題である、近代初期イングランドにおける社会変化によって生じたさまざまな形態の娯楽が、どのようにエリザベス朝演劇の劇作品に反映され、また同時にそれ自体娯楽産業である大衆演劇の創作実態にどのような影響を与えたのか、ということを見極めるという本研究の目的は 達成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
娯楽産業とエリザベス超大衆演劇の関係を、資料調査を進めながら、調査結果に基づく知見の発表を行なっていく、という形で研究を進める計画を立て、研究を進めて,2021-22年は研究3年目となった。 2020年春よりコロナウィルス感染症流行に起因する社会的規制のため、研究会開催が困難となったが、前年度よりオンラインによる研究会を開催したので、その面での影響は最終減にとどめることができた。一方、この期間は海外での資料調査が現在でも行なえなかったが、オンライン資料へのアクセスなど代替手段によって一定補うことができた。 その結果、上記研究会や研究発表を中心に、各メンバー、それぞれ大道芸、動物虐待見世物、売春業、飲食業、歌やダンス、賭博業、凶器・怪物見世物の担当分野で、それらの演劇における表象と、演劇産業とのあいだの影響関係についての研究をほぼ計画通りに進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022度は研究の最終年となるので、具体的な作品分析に基づいて各領域の娯楽産業についてこれまでえた知見をまとめることがその年度に遂行する研究となる。 各メンバーは、これまでどおりの資料収集を行ないながら、これまでの知見の集積に基づいて、エリザベス朝演劇と各領域の娯楽産業との関係、エリザベス朝演劇の娯楽産業としての特徴を明らかにすべく、研究成果のまとめを行なう。 その成果をすり合わせ、会全体として広い視野における娯楽産業としてのエリザベス朝演劇像をえるように年度末の研究会に開く。
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