2019 Fiscal Year Annual Research Report
Decentralizing the "Mediterranean Literature" towards Multilingual Area Studies
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19H01249
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
細田 和江 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (80779570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90513169)
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70713981)
宮下 遼 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (00736069)
富田 広樹 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (00757495)
小久保 真理江 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (00815277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地中海文学 / 多言語主義 / オリエンタリズム / 多文化 / オスマン朝 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究計画における初年度に当たるため、主に分担者との「地中海文学」概念の共有と基礎的な枠組みの確認を中心に進めた。まず分担者の鵜戸が先に出版したアルジェリア文学の訳書『もう一つの「異邦人」』における地中海表象について議論を行った。その際、他地域における「地中海」イメージを確認していったが、地中海という地域概念が地域や時代によって異なること、ユートピア的なイメージの有無など、今後の研究会で検討すべき点が明らかになった。また、近代において地中海沿岸を支配下に置いたオスマン朝において「地中海」表象が注目されてこなかったということなど興味深い報告も分担者の宮下遼からなされた。また研究会では、研究報告とともに、当該年度に出版された代表者、分担者の訳書の合評会も併せて行われた。 国際的な研究交流としては、当初レバノンのベイルートで予定していた国際ワークショップは当地の政治経済状況の急速な悪化を受けて開催が危ぶまれたが、フランスのオルレアン大学に会場を移して、レバノンのフランス語作家シャリーフ・マジュダラーニーの出席のもとに行うことができた。19-20世紀の地中海地域を舞台にしたレバノン知識人の移動と帰還がテーマとなった作品を中心に作家と議論できたことは収穫の一つとなった。 イスラエルでの「地中海主義」に関する資料収集と台湾とベルギーの研究者を招聘して3月末に予定していた国際シンポジウムは、コロナ禍によるパンデミックのため無期限延期とせざるを得なかったが、限られた条件のなかでも国内研究会開催、国際共同研究はほぼ計画通り進行したといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内研究会は予定通り開催し同研究会内での問題意識を共有できた。年度末のコロナ禍によるパンデミックによって海外調査や国際シンポジウムの開催が制限を受けたが、フランスでの国際ワークショップの開催を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍のパンデミックによって国際シンポジウムの開催や海外調査が当分のあいだ不可能となることが見込まれるため、zoomなどオンライン会議システムを利用し、研究会や研究交流を行う。そうした研究交流を円滑に進めるため、関連の機器購入を検討する。また、資料収集に関してもオンラインでの収集や書籍購入を進め、研究成果の発表と共有はパンデミックが終息した後にまとめて行うこととしたい。
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