2019 Fiscal Year Annual Research Report
複統合的言語の語形成と情報構造に関する研究―抱合と語彙的接辞の比較対照を通して
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19H01253
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
渡辺 己 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30304570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清澤 香 公立諏訪東京理科大学, 共通・マネジメント教育センター, 講師 (30758793)
呉人 徳司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40302898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形態論 / セイリッシュ語 / チュクチ語 / 抱合 / 語彙的接辞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の初年度である2019年度は,まずメンバーそれぞれが,これまでに収集したデータの中で,本課題に関わるものを洗い出し,本課題期間の研究と調査に備えることから開始した。 メンバーである代表者・渡辺己,分担者・清澤香,呉人徳司の3人ともに,それぞれの研究対象言語の話されている地域に赴き,現地調査をおこない,新たな言語データの収集をおこなった。 渡辺己は,カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州においてスライアモン語の調査を約ひと月おこなった。清澤は同じくカナダ・ブリティッシュ・コロンビア州において,ハルコメレム語とリルエット語の調査を3週間ほどかけておこなった。呉人徳司は7月にロシア・モスクワ市とイルクーツク市において,およそ10日間,さらに9月下旬から10月にかけておよそ10日間,ロシア・モスクワ市およびチュクチ自治管区アナディリ市においてチュクチ語の調査をおこなった。それぞれの現地調査はおおむね順調におこなうことができた。 それぞれの調査については,年度後半に報告し合い,本課題に関わるデータの収集とその分析について,初期的な意見交換をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題のメンバー3名が調査研究対象としている言語は,いずれも話者数が少数の高齢者に限られる危機言語であり,話者と対峙しておこなう現地調査が,常に必ずできるとは限らない。しかし,2019年度は3名とも,カナダおよびロシアにて現地調査をおこない,貴重なデータを収集することができ,本課題は順調に開始できたと言える。さらに,それぞれが連絡を取り合い,本課題について,その問題点について研究討議をすることができたので,2年目以降の進展に期待が持てる状態になったと考える。 具体的には,セイリッシュ語族の語彙的接辞と,チュクチ語の抱合に関して,これまで分かっている言語現象の確認と報告,そして,これらをどのように比較対象できるかということについても意見交換をすることができた。これについても初年度としては順調に研究開始ができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の2年目にあたる2020年度も,それぞれが現地調査をおこなう予定である。現地調査の前には,それぞれがさらにどのような言語データを収録すべきかを考え,それについて情報を共有する。本課題テーマである語彙的接辞と抱合は,単文のみの調査では現れにくいことがあり,まとまった分量の自然談話(テキスト)を収集,分析する必要もある。そこで,これまでに各メンバーがすでに収集したテキストを,本課題に沿った観点から分析・研究し,さらにできる限り新たなテキストの収集およびその書き起こしと分析を進めていく。 メンバー間では常に連絡を取り合い,進捗状況を共有していく。
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Research Products
(4 results)