2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the neural basis of language through integration of theory, models, and experiments
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19H01256
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
太田 真理 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (20750045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大関 洋平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10821994)
成田 広樹 東海大学, 文学部, 准教授 (60609767)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語 / 言語脳科学 / 理論言語学 / 自然言語処理 / 形態統語論 / 脳磁図 / 経頭蓋電気刺激法 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下の研究を実施した。①tDCSによる文法学習の神経基盤の検討:日本語母語話者28名に対して、スペイン語の文法規則を学習する際に左下前頭回の活動を一時的に上昇させたグループ(tDCS群)では、刺激しなかったグループ(シャム刺激群)に比べて、文法判断課題の成績が選択的に向上することを明らかにした。②tDCSと脳波の同時計測による文法学習の神経基盤の検討:日本語母語話者50名に対して、tDCS前後の脳波を測定し、文法判断課題の成績と関係する脳活動の変化を検討した。その結果、tDCS群ではシャム刺激群に比べて、文法処理との関連が報告されている事象関連電位P600の振幅が減衰することが明らかとなった。前年度に実施した脳波実験から、母語話者では学習者に比べてP600の振幅が小さいことも明らかとなっており、tDCS群で観察されたP600の減衰は、より効率的な文法処理が可能になったことを示唆している。③形態素構造を反映する脳活動の変化の検討:日本語母語話者49名に対して、一定のリズムで形態素を視覚または聴覚で提示すると、刺激提示に対応した脳波の周波数成分の増加に加えて、形態素構造を反映する周波数成分の増大も観察されることを明らかにした。この結果は、視覚提示と聴覚提示の両方で生じていたため、形態素構造の構築は刺激提示のモダリティに依存しない処理であることも明らかとなった。④文に対する脳磁図実験の実施:日本語母語話者40名に対して、複数の語順からなる文を読ませた際の脳磁図を測定する実験を行った。取得済みのデータを現在解析中である。⑤実験結果に基づく言語理論・計算モデルの再検討:実験の結果に基づいて、言語理論・計算モデルの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経頭蓋電気刺激実験、脳波実験、脳磁図実験の成果を、日本言語学会、日本神経科学学会、Society for the Neurobiology of Language、Architectures and Mechanisms for Language Processingなどの学会で発表し、論文として投稿中である(プレプリントサーバーにて公開済み)。新型コロナ感染症の影響で中断していた実験についても、概ね順調に再開できており、引き続き大きな研究計画の変更はせずに研究を進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、本研究課題はおおむね順調に進展しており、今後も現在の研究体制を維持しつつ、研究目標の達成に向け努力を続ける。具体的には、データ取得済みの文に対するMEG実験のデータ解析を進め、言語学習に関する経頭蓋電気刺激実験の結果を論文として投稿する予定である。また、取得済みの脳活動データに基づく神経ネットワークのシミュレーションや、モデリングについても引き続き進めていく。
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