2019 Fiscal Year Annual Research Report
推論過程の言語化における地域語のダイナミクスに関する研究:九州方言を中心に
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19H01262
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 節子 (有田節子) 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (70263994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 正 福岡大学, 人文学部, 教授 (20264707)
岩田 美穂 就実大学, 人文科学部, 准教授 (20734073)
前田 桂子 長崎大学, 教育学部, 教授 (90259630)
中田 一志 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 教授 (90252741)
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 准教授 (80526690)
原田 走一郎 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (00796427)
平塚 雄亮 中京大学, 文学部, 講師 (70757822)
門屋 飛央 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (60805878)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 推論過程 / 九州方言 / 条件表現 / モダリティ表現 / ダイナミクス / バリエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月17日に事前に打ち合わせとして、モダリティ表現の面接調査および地域文献調査のこれまでの共同研究の内容を精査し、採取方法の問題点、他の論理表現・モダリティ表現を含めた調査項目の洗い出しと、論理表現・モダリティ表現の収集と分析に必要な意味・語用論に基づく文脈情報のリストの作成に着手した。2019年7月4日に全体ミーティングを開催し、以上の内容を共有した。研究の進捗状況を公開するためのウェブサイトを構築し、試験的に運用を始めた。以下、メンバーが行ったことの一部を列挙する。1)大分県宇佐市の録音データ(1978,1979)の音声・音韻的特徴、形態論的特徴を精査した。2)方言談話資料(『全国方言談話データベース日本のふるさとことば集成』国書刊行会、『全国方言資料』日本放送協会)を用いて、九州全域の順接仮定条件の形式の洗い出しを行った。3)五島列島の藪路木島方言について、音声・音韻に関わる調査を始めた。4)若年層の長崎方言(および他の北部九州方言)について、標準語の「の」に相当する「と」の用法について面接調査を行った。5)長崎市と新上五島市および奈良尾で、方言の推移について調査した。6)長崎市と新上五島市および奈良尾で、方言の推移について調査した。特に新上五島市ではキリシタン集落とその他の地域とのことばの違いについても調査を進めた。7)鹿児島県立図書館所蔵の方言ライブラリー(自然談話資料)を使い,次年度以降調査すべき項目の洗い出しを行った。8)天草市本渡方言,天草市深海方言の形態論,音韻論に関する調査を実施した。9)天草市牛深町、南島原市口之津町で論理表現と文末表現の調査を行った。以上の調査結果の一部を非公開のワークショップ(2020年3月9日)においてメンバー間で共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の予定は、1)研究代表者の有田節子と研究分担者の江口正、岩田美穂、前田桂子、中田一志がモダリティ表現の面接調査および地域文献調査のこれまでの共同研究の内容を精査し、採取方法の問題点、他の論理表現・モダリティ表現を含めた調査項目の洗い出しを行うこと、2)それに基づき、論理表現・モダリティ表現の収集と分析に必要な形式意味論・発話行為論等の意味語用論に基づく文脈情報のリストを作成すること、3)以上の内容を他の4人の分担者(松浦年男、原田走一郎、平塚雄亮、門屋飛央)と共有すること、4)この5人の分担者も、それぞれがフィールドとする地域の調査データや、地域文献の資料等をメンバー間で共有するための非公開ワークショップを開催すること、5)研究の進捗状況を公開するためのウェブサイトを構築すること、であった。このうち、5)のウェブサイトについて、構築はしたものの、正式な運用は始まっていないという点で、若干の遅れはあるものの、1)から4)については、予定通り進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、少なくとも、前半については、昨年度末に発生した、COVID-19の世界的な感染拡大の影響を大きく受けることが予想される。本研究課題は、インタビュー形式での調査に基づく方言研究の割合が高い。その調査対象の多くは、高齢者であり、COVID-19の感染について、特別な配慮が必要である。そのような現状を鑑み、本年度前半は、特に、リモートでの調査を可能にする調査マテリアルの開発に力を注ぐ予定である。可能ならば、オンラインでの調査、それがかなわないなら、マテリアルとICレコーダーなどを被験者に送付して、録音して返送してもらう、などの措置が考えられる。現状を注視しつつ、できることから順次実施していく予定である。後半には、開発したマテリアルを用いての調査を各フィールドで行う予定である。
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Research Products
(12 results)