2020 Fiscal Year Annual Research Report
推論過程の言語化における地域語のダイナミクスに関する研究:九州方言を中心に
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19H01262
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 節子 (有田節子) 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (70263994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 正 福岡大学, 人文学部, 教授 (20264707)
岩田 美穂 就実大学, 人文科学部, 准教授 (20734073)
前田 桂子 長崎大学, 教育学部, 教授 (90259630)
中田 一志 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 教授 (90252741)
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 教授 (80526690)
原田 走一郎 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (00796427)
平塚 雄亮 中京大学, 文学部, 講師 (70757822)
門屋 飛央 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (60805878)
黒木 邦彦 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (80613380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 条件表現 / モダリティ表現 / 疑問文 / 天草深海方言 / 宇佐方言 / 佐賀方言 / 新上五島町 / 藪路木島方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はCOVID-19の感染拡大の影響を受け,現地調査が行えなかった。そのため、これまでの調査で収集したデータの整理・分析、コーパス・文献資料を利用した調査、アンケートによる調査など臨地調査ではない形での調査・研究が中心になった。具体的には、1)方言文献資料(『全国方言資料』、各地の郷土誌文献等)を用いた条件表現形式の調査、2)30年前の宇佐方言の談話録音データを精査して条件表現をピックアップし、データベース化する作業、3)「日本語諸方言コーパス」「鹿児島県立図書館所蔵の方言ライブラリー」を利用した九州各地の方言のモダリティ表現を整理する作業、4)2019年度に行なった新上五島町および藪路木島方言調査の内容整理と、その他の未整理の九州方言アンケートの入力作業、5)近世の長崎方言資料となる古典籍の資料収集、6)北部九州の若年層方言で観察される、名詞に直接準体助詞「ト」が後接する「雨と?」のような疑問文についてのアンケート調査があげられる。また、リモートで、7)天草深海方言の呼びかけイントネーション、8)佐賀西部・東部方言の条件付き命令文、9)鳥取県東部八頭地区において、条件表現及び間接疑問文(とそれに関連する準体句)の予備調査、をそれぞれ行った。さらに、10)鹿児島県いちき串木野市に出向いて、遠隔での面接調査を行い、新しい調査形態を模索した。また、11)調査用コンテンツとして、「サザエさん傑作選2005」(Prime Video配信)を利用することによる方言調査の新しい調査方法を検討し,それを使った調査を試行的に実施した。以上の研究活動の成果の一部は、雑誌論文3件、研究発表11件、図書3件として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染状況が改善しないため、現地調査ができないという面はあるが、それまでの調査資料の整理・分析が進んだことにより、一定の研究成果をあげることができた。また、動画を使った調査コンテンツの準備や、リモート調査の試行的実施、さらに、現地での遠隔面接調査という新しい手法を開発することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、現地に出向いた上で遠隔で面接を実施する方法をさらに拡張し、これまでできなかった面接調査を進める。調査地域毎に担当者を決め、調査項目をメンバー間で共有することにより、調査効率をあげることが期待できる。その際、コンピュータの操作に慣れた現地の人に協力を仰ぐことになるが、それは、本プロジェクトが目指す、方言調査を通したコミュニティとの協働にもつながると考える。
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Research Products
(17 results)