2019 Fiscal Year Annual Research Report
工学系日本人大学院生の博士論文英語化推進ツールEJETの開発
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19H01281
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 有香 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40341226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 淳 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (00787963)
松田 真希子 金沢大学, 国際機構, 准教授 (10361932)
井佐原 均 豊橋技術科学大学, 情報メディア基盤センター, 教授 (20358881)
野口 ジュディー津多江 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 名誉教授 (30351787)
史 杰 (ShiJie) 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50296795)
竹井 智子 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 准教授 (50340899)
HAGLEY ERIC 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60466472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 工学ESP / コーパス分析 / 論文テキスト / ライティング支援ツール / 日英対照分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
工学研究における国際化が進み,「工学の共通語は英語」と広く認識されるようになって久しい。国際学会だけではなく,すでに国内の工学系の学会においても,投稿論文の執筆言語を英語に限定している場合もある。ところが,一方で,工学専攻の日本人大学院生の学位論文は,いまだにその多くが日本語で執筆されている。本研究は,工学系日本人大学院生が学位論文を英語で書く際の心理的・物理的・言語的障壁を解明し,工学学位論文作成支援ツールを開発して,工学系大学院生の学位論文の英語化を推進するものである。 本研究では,1)国立工業系大学における英語化の現状調査,2)日本人大学院生の英語論文作成支援ツールのニーズ調査,3)日本語と英語の工学論文テキストをバラレルに収集・分析した上で,工学系日本人大学院生のための工学系英語学位論文作成支援ツールの開発の3つの作業を行うこととしている。 2019年度は,研究対象の規模を限定したパイロット調査として,英語化の現状調査・大学院生のニーズ調査とそれら結果の分析,大学院生の英語論文作成支援ツールのプロトタイプの開発を行っている。研究成果は,各学会における研究発表・論文発表等でひろく公開することとし,工学系英語学位論文作成支援ツールについては,限定的な公開としている。研究メンバーは,著書3本,論文他10本の出版に加えて,国際会議発表10本,国際会議,および,国内会議における講演やシンポジウム講師としての講演の他,国内会議における研究発表などを行っている。また,英語コーパス学会ESP研究会と合同で,講師を招聘して,一般公開での言語分析のためのワークショップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,課題遂行のために,次の3つのプロジェクトWGを始動させている。 1)英語化調査WG・ニーズ調査WG,2)言語分析WG,3)オンラインツール開発WG 1)では,工業大学および工業大学大学院の英語化の現状の調査を始めた。また,パイロット研究として,調査対象を限定して,日本人大学院生が必要とするライティング支援ツールのニーズ,辞書,翻訳ソフト,翻訳サイトの使用状況と使用に関する信念についてアンケート調査を行っている。2)では,英語班と日本語班に分かれ,コーパスデータの収集方法・提示方法を検討した。また,ツール開発に際して必要な事前処理の検討を行い,サンプルデータの収集・分析・処理を行った。2019年は主に日本語データの分析と課題の洗い出しを中心に作業を行う予定であったが,パラレルコーパスのデザイン上,英語のコーパスについても,ある程度のデータの収集・分析・処理を同時に行った。3)では,英語化の現状調査・ニーズ調査の結果と,サンプルデータ処理結果を踏まえて,ツールデザインの検討を行った。オンラインプログラム開発業者の選定,委託するツール開発業務について検討を重ね,英語はPenn Treebank データセットを,日本語はIPADICを用いることにした。業者選定,プロトタイプの開発までを行っている。また,その過程で,工学系英語テキスト・日本語テキストの分析を行い,特徴の一端を明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,研究協力者の確保が難しく,計画していた大規模なデータの収集に関する作業は,遅れが生じる可能性がある。プロトタイプの試用・改善についても,2021年度へ延期する。そのため,2020年度の作業の中心は,これまでに収集したデータの詳細な分析とし,主たる達成目標を,ニーズ調査・言語分析に関する研究成果の中間報告を行うこととする。また,論文テキストデータの機械的な収集・分析方法についての検討を行うことも各WG共通の課題とする。 2021年度以降の作業としては,大規模でのデータ収集,大学院生用ライティング支援ツールのプロトタイプの試用・改善を行う。
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