2021 Fiscal Year Annual Research Report
小学校教員の英語発話能力向上を支援する:地域の枠を越えたブレンド型研修の試み
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19H01289
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
折井 麻美子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30334585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 京子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40343016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員研修 / 小学校 / 外国語 / 発話指導 / やりとり / 発音 / 教室英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、教科化による研修の必要性の高まりに関する文献調査(紀要論文)と、杉並区で実施したアンケート調査の結果報告(査読論文)を行った。 紀要論文では、教科としての「外国語」が2020年に導入されたことに伴い、高学年の学級担任が必要とする英語力は「外国語活動」指導時に比べてより高度なものが必要となるということと、学級担任が抱える不安感や負担感は引き続き高いということについて考察した。さらに、教員の不安の解消と英語力・指導力向上のための研修が総じて不足しており、実施がしやすい校内研修の実施にあたっても課題が多く、研修の形態に関わらず、系統的な研修プログラムの構築が必要であるということを論じた。研修内容についても、管理職側と教員側の両面から検討した結果、指導法についてのニーズは引き続き総じて高い一方で、近年は教科化と時間数の増加に対応するために高く幅広い英語運用能力が必要となっており、管理職と教員の意識も徐々に変化して、英語力向上の為の研修のニーズが高まっていることを論じた。 査読論文では、Teamsを使用したアンケート調査を杉並区小学校教員を対象に実施した。その結果、教員は総じて自身の英語力に対して不安があり,単独授業に不安を抱いていることが分かった。また,デジタル教材を有効に使用している教員が多く,評価については不安を持つ教員が多いものの,教科化して間もない時期からパフォーマンス評価を実践する教員も多くいることが分かった。研修へのニーズは高く,活動紹介や英語力の向上に関する研修を必要と感じている教員が多いことが分かった。一方で,必要とする支援として人的支援(専科教員の配置やALTの派遣増)と共に,業務負担減を必要としていることから,研修の実施についてはその内容の精査とともに,実施方法(対面研修・録画研修・紙面共有・リアルタイム配信等)の工夫が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は、小学校外国語授業での発話指導のための教員研修の構築とその実施とその効果の検証である。特に、研修機会が少ない地方に在住する小学校教員から希望者を募って、複数名の講師が複数回ずつ地方を訪問して全国各地で研修を実施することを計画していた。 しかし、2020年初頭からの新型コロナウイルスのまん延により緊急事態宣言が発出され、行動制限が課されたことで2020年度は、東京都内であっても小学校側が教員派遣を見合わせる状況が続いていたため、教員研修を実施することができなかった。 さらに2021年度についても、緊急事態宣言とまん延防止措置が東京都でほぼ年間を通じて出されていたことから、都内在住の研究代表者が地方を訪問しての研修の実施は困難な状況となった。 2022年度は、宣言等が出されていないものの、ワクチンを接種できない小学校低学年の感染からの高学年への校内感染が多く報告され、現在でも各校で学級閉鎖が出ている状況が続いている。そのため、教員が学外や遠方での研修に参加しづらい状況は依然として継続している。このような状況から当初の研究計画の主眼であった地方を訪問しての研修の実施は、研究期間中には実施不可能な状況であると判断した。 そこで、2021年度は、大幅に方針転換し、全面オンラインでの教員研修の実施の可能性について検討すべく、杉並区においてアンケート調査を実施して、教員研修のニーズについて、特にオンデマンド配信や、リアルタイム配信による研修に対する教員の受け取り等について改めて調査することにした。8月にアンケートをTeams で実施し、9,10月にデータ分析を行い、10月と11月に学会発表を行ってその結果を報告するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍における緊急事態宣言やまん延防止措置による行動の制限が2年間にわたって出されていたことから、大幅に研究計画を見直す必要が生じた。地方を訪問しての研修の実施は断念し、以下の通りに全面オンライン教員研修として再構築することにした。 まず第一に、地方への訪問の代わりに、(1)昨今急速に発達した遠隔会議システム(ZoomやTeams)を使用して研修を実施することにし、(2)対面研修として予定していた内容についても、オンデマンド講義配信に変更することにした。なお遠隔会議システムによる研修では、(3)対面参加とオンライン参加を平行して行う「ハイフレックス」形式にすることにした。 2022年度は、新規にオンデマンド配信講義を複数本作成することにする。それに際して、杉並区内の優れた実践を行っている小学校教員(杉並区堀之内小学校黒木教諭)に協力を依頼し、小学校でのやりとり指導の望ましいあり方の実践例を授業動画として録画し、オンデマンド配信講義の中に動画を埋め込む等の作業を行う。また、10月・11月には、ハイフレックス型の研修のより望ましい形態を、事前に検討の上で英語力向上研修を試験的に実施する。翌2月には杉並区のYoutubeと早稲田大学のYoutubeで講義を配信するとともに、個別指導を含む研修参加者を募る予定である。
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Research Products
(4 results)