2019 Fiscal Year Annual Research Report
伊藤忠兵衛家事業経営関係文書の公開に向けた史料整理と原文書による文書学的研究
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19H01308
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
宇佐美 英機 滋賀大学, 経済学部, 名誉教授 (60273398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 丸紅株式会社史資料 / 伊藤忠兵衛家文書 / 伊藤長兵衛家文書 / サンフランシスコ邦字新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)「丸紅株式会社史資料」の仮目録と原本照合による点検は、文書保管箱(100箱)のうち、予定通り70箱分の作業を終えた。この作業では仮目録に修正加筆を行い、それが済み次第にデータの修正入力を行っている。修正入力は2箱分を終了した。この修正データは、全点を照合した後に再度点検する予定である。 (2)「伊藤忠兵衛家文書」の仮目録と原本照合の作業は9割ほどの進捗状況に達した。次年度の半ばまでには、修正データを再入力して総点数を確定させ最終点検の作業に取り掛かる準備を整える予定である。 (3)「伊藤長兵衛家文書(追加分)」については史料目録を完成させたが、ラベル貼付の作業に取り掛かることが出来なかったため、この作業が済み次第に公開を行う。 (4) サンフランシスコ公共図書館歴史センター、日系研究・図書館、日米史料館、北加日本文化コミュニティセンター、日系アメリカ歴史協会において関連資料の調査とヒアリングを実施した。とりわけ、日系研究・図書館が所蔵する邦字新聞のうち、Nichibei Shinbun(日米新聞)、日米(The Japanese American News)、日米時事(The Nichibei Times)、Hokubei Mainichi(北米毎日)については、所蔵年次の原本確認を行い、それらを記録した。ただ、日米の古い発刊号や一部の新聞については、当該施設が配架環境を整備している途中であり、閲覧利用はその作業を終えてから許可するとのことで、所蔵する新聞の全ての年次や記事の確認はできなかった。これらの収集情報をスタンフォード大学がWeb公開している邦字新聞サイトと照合する作業は次年度に試みる。 (5) 伊藤忠兵衛家事業経営にかかる伊藤糸店については、滋賀大学経済学部附属史料館研究紀要、53号、に論文を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 史料整理・目録作成の作業については、ほぼ予定通りに進捗した。ただ、丸紅株式会社史資料のうち一部については、仮目録作成時に一括して1点としていたものがあり、これを見直し改めて枝番号を付して細目録を作成しているが、その点数が予想外に多いため若干の遅れが生じている。 (2) 伊藤忠商事・丸紅の社史編さん時に実施された座談会記事を翻刻する計画を立てて作業を進めているが、作業に従事していた研究補助者が11月より産休に入ったため新たに1名採用したが、翻刻原稿の完成は当初の予定より先送りせざるを得なかった。但し、伊藤忠商事の分については入力を終え、丸紅についても半分程度の翻刻を終えた。これらの原稿などは、原本による校合に取りかかった。 (3) 原史料を用いた研究は他大学の教員の協力を得て、夏期に2日、春期に1日実施した。当面は創業(1858)時から1949年の期間における伊藤忠兵衛家事業経営体の全店員名簿を作成する作業を行っているが、統一した書式に整理する作業までには至っていない。 (4) 米国調査については、新型コロナウィルスが問題となる直前に渡米することができたため、予定していた施設でのヒアリングもできた。しかし、調査先の一つである日系研究・図書館が所蔵する邦字新聞については、当該施設が現在は一般公開を行っておらず、館長の特別な配慮で一部の資料を閲覧できたが、いずれ公開体制を整えた時点での再調査が必要なことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 史料整理・目録作成については、これまで作業を担当してきた同一研究補助者が作業を進めることにする。史料翻刻原稿の作成担当者についても同様である。しかし、新型コロナウィルス感染状況によっては、大学による入構禁止措置や通常勤務が制限され、原文書が史料館に保管されていることもあって作業を中断せざるを得ないため、当初予定の作業を遂行することが困難になる可能性がある。この場合、目録点検・作成の作業は、時機がくるまで停止し、自宅で史料翻刻の作業を依頼することにする。いずれにせよ、この作業が順調に進めば、2020年度内に丸紅株式会社史資料の全点数の確定とラベル貼付作業が可能となり、2021年度に細目録を完成させることができると想定している。 (2) 2020年度から分担研究者として2名参加してもらうことになった。この他にも研究協力者として何人かお願いすることにして、年に2回程度は共同研究会を開催したいと考えている。この研究会では、伊藤家事業経営の基礎的な史実の共有を一義的に行う。すなわち、伊藤忠商事・丸紅の社史に記述された史実の正誤確認や新知見の共有化を中心とした研究会を継続させ、その成果は2022年度内に論文集を刊行して反映させたい。 (3) 2020年度には分担研究者とともに海外(英国・米国・韓国)調査を予定しているが、国内外の状況によっては次年度へ延期せざるを得ないと考えている。 (4) 伊藤忠商事・丸紅社史編さん時の座談会記事は、翻刻完成原稿が出来次第に出版社と刊行の交渉に入りたい。当初は1冊の予定であったが、分量次第では2冊となる可能性もある。但し、伊藤忠商事・丸紅の出版許可如何によって予定は変更される。 (5) 2020年度内の研究成果は、附属史料館研究紀要やワーキングペーパーなどに公表する。但し、学外教員についてはその限りではなく、各自の判断に委ねる。
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Research Products
(1 results)