2022 Fiscal Year Annual Research Report
Climate change and social transformation in colonial Southeast Asia
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19H01322
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 淳 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50634375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 郁美 専修大学, 文学部, 教授 (40574140)
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 教授 (50534054)
長田 紀之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター動向分析研究グループ, 研究員 (70717925)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候 / 東南アジア / 降水量 / 洪水 / 疫病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はようやく海外調査が再開できた。太田はオランダ王立気象研究所で蘭領東インドの降水量データを確認し、ジャワで米の不作が発生した1920-21年における降水量分布を明らかにする上で重要となる、観測所の地理情報を入手した。赤坂はマニラ気象観測所で調査を実施し、20世紀初頭の降水量データを入手した。同じく塚原は、オランダ国立文書館でオランダ海軍の航海日誌を調査した。財城および長田は、それぞれ既に入手済みの蘭領東インドの降水量データおよびイラワディデルタにおいて築堤を主導したイギリス人技師の残した資料を分析した。研究協力者の笹本浩子は、オランダで発行された土木技術者向け専門雑誌をオンラインで入手して分析した。 以上の調査の結果、次のような見解が得られた。太田は1910-30年代のバタヴィアにおいてマラリアが発生する際に特有の降水パターンがあったことと、当時のマラリア防遏政策に気候に関する知識と都市工学を組み合わせる発想があったことを明らかにした。財城はジャワで米が豊作であった1919年と不作が発生した1920、1921年の降水量分布を分析し、降雨が1920年後半に少なく1921年前半に多いこと、気温が3年間を通じてやや低いことを明らかにした。赤坂は米の不作が発生した1938年におけるフィリピンの降水量分布を分析し、ルソン島西部を中心に9月までの降水量が著しく少ないことを明らかにした。塚原はオランダ海軍の航海日誌に含まれる気象情報について情報を抽出し、データベース化を進めた。笹本は1870年代のバタヴィアおよびスマランにおける洪水防御計画の内容とその形成過程を明らかにした。長田はイラワディデルタにおいて築堤が洪水からの防御に与えた影響と植民地行政の優先順位について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度より海外での調査に出られるようになり、研究が大きく進展し始めた。2019年度に収集した資料について2020-21年度にかなり時間をかけて分析を進めていたたことも、2022年度になって研究が進展する要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今までに収集した資料の解析を終わらせ、研究成果をまとめることに注力する。メンバー間の打ち合わせを密にして、一貫性のある成果をまとめ上げるよう努める。
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