2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the local residents' strategy against 'bordering' power in the case of 19-20th century Alpine-Adriatic region
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19H01329
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田原 琳 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70466910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 珠美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20641236)
鈴木 鉄忠 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (20726046)
藤井 欣子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (30643168)
秦泉寺 友紀 和洋女子大学, 国際学部, 教授 (60512192)
古川 高子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (90463926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 境界 / ヨーロッパ / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年次であった2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が収束せず、本事業にとって大きな位置づけである海外調査が実施できなかった。このため、(1)参加メンバー間での理論的枠組みの共有と発展を踏まえつつ、(2)個別の課題の研究の遂行に一層注力する結果となった。 (1)に関しては、2020年6月、9月、2021年3月にオンラインでの意見交換を行なった。とくに、本研究のトランスナショナル、トランスリージョナルな枠組みが、近年関心が高まり、蓄積も徐々に増えつつあるグローバル・ヒストリーとどのような関係にあるかが議論になった。グローバル・ヒストリーが接続や交換を無条件の前提とする傾向があるのに対して、トランスナショナル、トランスリージョナルという問題設定は、本事業が取り組む境界化の権力に意識的であるところに理論的な利点があると考えられる。 (2)に関しては、文献資料・デジタル化資料を活用して行った(分担者のそれぞれの成果は後の一覧を参照のこと)。「パンデミック」という新たな状況に対して、トランスナショナル、トランスリージョナルな枠組みを積極的に活用することができることが明らかになったことが成果である。2020年度はオンライン開催の国内・海外学会での学会発表を積極的に行うことができたことも評価される。学会発表を通じて、(2)個別の課題のまとめの方向性の展望を得ることができたので、これを全体的な理論的枠組みへと還元してゆくことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルペン・アドリア地域における境界化の権力のさまざまな働き、それらに対する住民の戦略的実践を検討するにあたって、本事業においては当該地域における史資料収集、調査が欠くことのできない重要性をもつが、これが実施できないため。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、パンデミックがもたらした新たな経験と視野を、本研究にも反映させ、境界化の権力の更なる検討を行う必要がある。第二に、2021年度から2022年度にかけて、各国の入国規制が緩和され、海外渡航が可能になる兆しが見えてきたため、当該地域において、史資料調査だけでなく、海外の共通の関心をもつ研究者等とのネットワークの再構築を行い、研究の積極的推進を図る必要がある。
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