2021 Fiscal Year Annual Research Report
Excavations of Huaca Facho during the transitional period from Moche to Lambayeque: A study of the reconstruction of complex society
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19H01335
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松本 剛 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80788141)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セトルメントパターン研究 / 土器研究 / ランバイェケ複合 / モチェ / シカン/ランバイェケ / サーニャ谷 / ワカ・ファチョ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(2021年度)も新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によってペルーに渡航すること自体が不可能となった。渡航できない場合には、日本から現地協力者たちにリモートで指示を与えることで調査を進めることも視野に入れていた。ところが野外で安定した通信環境を確保し、綿密な連絡体制を確立することは難しく、リモート調査の実施は断念せざるを得なかった。なによりもペルー国内の感染状況が思わしくなく、そもそも調査中の現地協力者たちの身の安全を確保することができなかった。 初年度(2019年度)のサーニャ谷下流域での踏査は多くの重要な発見をもたらし、これまで「周縁部」として軽視されがちであったサーニャ谷のランバイェケ複合における位置づけを再考する必要が生じたほどであったものの、2019年度からの三年間で完了予定だったランバイェケ複合での踏査は計画半ばで終了することとなった。なお、予算に関しては、間接経費以外のすべての予算を次年度(2022年度)に繰り越すこととなった。 こうした制約のある中でも、前年度(2020年度)同様、現地協力者との連携や研究テーマの理解を深めるためにリモート会議の回数を増やし、勉強会を開催するなど、研究推進に務めた。また、これらと並行して、これまでに蓄積したデータの分析を行った。とくにパレテアダ土器や醸造用土器の分析、遺跡内空間情報の見直しと再分析からは大きな成果が得られた。それらの成果を論文や図書にまとめ、国内外の学会にて発表した。コロナ禍がゆえのオンライン開催という利点を活かし、日本・アメリカ・ペルーの三ヵ国で開催された学会に参加できたことは大変有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によってペルーに渡航すること自体が不可能となったため、予定していた海外渡航による調査がすべて中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルーにおける新型コロナウイルス感染症の感染状況や日本から海外への渡航規制など、その時々の動向に大きく左右されることが予想されるが、臨機応変に対応しながら、計画実行と研究推進に努める。 当初のスケジュールでは、今年度(2021年度)で踏査のために確保していた三年間が終わり、来年度(2022年度)から発掘調査に入ることになっている。ペルーへの渡航が可能であれば、予定どおりワカ・ファチョにおいて8月上旬から6週間の発掘調査を行う。発掘作業と並行して遺物整理作業を行い、発掘調査の後2週間、国立シカン博物館にて土器の肉眼分析を実施する。調査はペルー国内の状況に合わせて日程を調整しながら実施する。野外作業完了後は、速やかに調査の報告書を作成し、ペルー共和国・文化省に提出する。調査結果を国内外で開催される学会にて発表する。
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