2022 Fiscal Year Annual Research Report
三角縁神獣鏡の製作地解明に向けたミューオンビームによる非破壊成分分析とその検証
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19H01357
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
南 健太郎 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60610110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朗 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (40362610)
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
三船 温尚 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (20181969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 三角縁神獣鏡 / ミューオン / 完全非破壊成分分析 / 鋳造実験 / 三次元計測 / 湯流れ・凝固シュミレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①鋳型の設置角度の条件を変えた鋳造実験結果の発表、②鋳型の設置角度、原材料を溶かし合わせた湯の温度の条件を変えた鋳造実験、③三角縁神獣鏡の三次元データを用いた厚さ・等高線の解析、湯流れ・凝固シュミレーション、④ミューオン実験結果の解析、を実施した。 ①では鋳型の鏡面・鏡背面のどちらを上にして設置するか、どのような角度で設置するか、という条件によって、どのような鋳上がりの製品ができるかという実験の結果報告を行った。条件によって異なる鋳上がりの製品ができたことは、出土品との比較において有益な結果となった。 ②については、①の実験条件にさらに湯の温度の高低の条件を加えて、さらに具体的な鋳造方法の検討をおこなった。①の実験とは異なる鋳上がり、鋳造欠陥がみられたことは大きな成果となった。 ③は三次元計測データの解析、シュミレーションである。厚さ・等高線の解析では、三角縁神獣鏡の微細な形態的特徴を見出すことができた。またシュミレーションでは湯流れ、凝固が鋳型内でどのように進行したのかについての具体的なデータを得ることができた。 ④はミューオン実験による完全非破壊成分分析である。特性X線ミューオンによって銅鏡内部の錆等の影響のない部分の成分分析を完全非破壊で行ったものである。実験は成分分析の精度追求のため、ビームタイム、強度の条件を変えており、成分組成から鋳造技術を復元するための実験方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標である三角縁神獣鏡の具体的な製作方法の復元については、鋳造実験とミューオン実験の成果から進めることができている。ただし実験済の資料について解析が終了していないものがあるため、その点は早急に進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は本研究の最終年度となるため、実験結果の解析を進め、成果を公表する。 鋳造実験結果の解析は鋳造した製品の詳細観察をおこない、鋳造方法を具体的に復元するのに備える。またミューオン実験結果の解析については、すでに構築したプログアムによって迅速に進める。
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Research Products
(9 results)