2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research about estimation of roots condition in forest using LiDAR data and slope collapse prediction
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19H01369
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小荒井 衛 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (50419876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 亘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353880)
桑原 祐史 茨城大学, 広域水圏環境科学教育研究センター, 教授 (80272110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 航空レーザ / 斜面崩壊 / 根系発達 / 森林三次元構造 / 地形解析 / 花崗岩 / 阿武隈山地 |
Outline of Annual Research Achievements |
阿武隈山地の風化花崗岩地域(福島県いわき市・小野町・川内村の境界部の矢大臣山、鬼ヶ城、小白井の伐採跡地)において、伐採木の直径、根系発達、花崗岩の風化状況、地形の調査を実施し、150箇所程度の現地計測データを得た。谷型斜面の方が尾根型斜面よりも風化層の厚さが厚いこと、斜面下部の方が上部よりも風化層が厚いこと、根系発達については直径が大きい方が根の深さや根の幅が大きいことが確認できた。中風化層の底部あたりまで根系の深さが達していること、風化層が薄い場所では根系の幅が大きくなる傾向も確認できた。樹林部で樹高と胸高直径とを計測した結果では、強い相関が得られたので、航空レーザで求めた樹高から根系発達の状況を推定できる可能性が示唆された。 航空レーザから求めた森林三次元構造と現地の状況を比較するため、矢大臣山で方形区を7カ所設置し毎木調査を実施した。樹木本数まで正確に求めることは難しいが、本数の多少の傾向は概ね再現できた。急傾斜の方形区では樹木本数が過小に評価されるので何らかの補正が必要である。胸高直径積算と航空レーザの透過率との関係を比較して負の相関が認められたが、航空レーザの点群密度が高い方形区ではその関係が認められなかったので、点群密度に応じた補正が必要である。 ある程度の補正を施すことで航空レーザから樹木密度マップの作成は可能であり、そこから根系発達状況を面的に推定できれば、森林の三次元構造を反映した斜面リスク評価の可能性があると考えられる。 一方で、地形特性と衛星画像を用いて表層崩壊危険箇所を予測する研究を行った。新潟県十日町市・津南町を対象に、20万分1シームレス地質図から地質、DEMから傾斜、縦断面形、横断面形、土層厚、森林簿・植生図から樹種、齢級のデータを抽出し、山腹崩壊危険度を求めた。危険度の高い箇所、低い箇所を選んで現地検証を行い、概ね良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題は無い。ただ、新型コロナの影響で年度末に研究者間の打ち合わせを行うことができなかった。また、当初購入を予定していたGPSが販売中止になっており、1台あたりの単価が高くなってしまい1台しか購入できなかった。その分、その他の現地測量機材の購入や写真判読に必要な機材等の購入を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
航空レーザデータ活用の研究については、阿武隈山地の風化花崗岩地域では、根系発達や花崗岩風化状況などの現地計測データは順調に取得できている。今後も阿武隈山地での現地検証データをより多く取得していく。航空レーザデータとの比較のための毎木調査は、現時点で矢大臣山の伐採地のみなので、今後鬼が城や小白井でも行っていくと共に、周辺の伐採跡地にも展開していく予定である。また、花崗岩以外の地質での検証データの取得を進めるため、堆積岩地域を対象とした検証を進めて行く。具体的には、茨城県と栃木県の境界に位置する八溝山地(中生代ジュラ紀の堆積岩)で、阿武隈山地と同様の検討を進めていく。 地形特性と衛星画像を用いて表層崩壊危険箇所を予測する研究については、新潟県十日町市・津南町を対象に、地質・地形・植生の情報からの山腹崩壊危険度評価では概ね良好な結果が得られたので、衛星画像処理で算出したNDVIを危険度評価に加味してその有効性を検証する。同様の検討を、平成29年7月九州北部豪雨の被災地である福岡県朝倉市・東峰村、大分県日田市でも行う。また、新潟県十日町市・津南町は新第三紀の堆積岩、火山岩などが分布しているので、この場所での航空レーザデータの活用の検討も開始する。
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