2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research about estimation of roots condition in forest using LiDAR data and slope collapse prediction
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19H01369
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小荒井 衛 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (50419876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 亘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353880)
桑原 祐史 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 教授 (80272110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 航空レーザ / 斜面崩壊 / 根系発達 / 森林三次元構造 / 地形解析 / 花崗岩 / 阿武隈山地 / 八溝山地 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県いわき市鬼ヶ城および小白井に位置する阿武隈山地の花崗岩斜面の伐採跡地および栃木県那珂川町富山に位置する八溝山地の付加体(砂岩、泥岩の互層)斜面の伐採跡地を対象に調査を行った。伐採後の地形および現在の植生状を調査するためにUAVによる空撮および対空標識の位置情報の取得のためのGPS測量を行った。撮影された画像についてはSfM解析によりDSMおよびオルソ画像を作成し、現地状況の把握を行なった。鬼ヶ城地区の調査では、伐採前に計測された航空レーザ測量データから地形情報を抽出し、それを基に微地形図を作成するとともに、樹木の位置情報についても抽出した。 鬼ヶ城23か所、那珂川町40か所において、伐採木の直径・根系発達・風化状況・地形の調査を実施して現地計測データを得た。鬼ヶ城では直径と根系発達には明瞭な関係が認められなかった。那珂川町では直径と根の横幅に弱い正の相関が認められた。 航空レーザで求めた森林三次元構造を現地と比較するため、鬼ヶ城4箇所、小白井4箇所、那珂川町6か所の方形区で毎木調査を実施した。樹木本数は過小評価になるが本数の大小の傾向は再現できた。昨年度実施した矢大臣山7箇所の結果と合わせても、実測樹木本数と航空レーザ抽出樹木本数には強い正の相関が認められた。樹木密度マップ作成が可能である。切株断面積積和と航空レーザの透過率との間には負の相関が認められたが、その傾向から外れる方形区が何か所かあり、その理由の検討が必要である。 また、室内土層実験で100mm/h豪雨に近似させた雨を発生させ、地形傾斜と根系模型種類別に崩壊の度合いの違いを実験した。マサ土でスギとヒノキの根を模型化したところ、根が広がる範囲の土層は崩壊しにくいことが確認された。現地での土層移動量を長期計測するために簡易GNSSによる移動計測と後処理型誤差補正を検討したが、有効な誤差補正効果が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題は無い。昨年度GPSを1台しか購入出来なかったため、もう1台の購入を発注したが、新型コロナの影響で年度末までに輸入されず購入出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
航空レーザデータ活用の研究については、阿武隈山地の風化花崗岩地域では、根系発達や花崗岩風化状況などの現地計測データは順調に取得できているが、今後も阿武隈山地での現地検証データをより多く取得していく。航空レーザデータとの比較のための毎木調査は、現時点で矢大臣山・鬼ヶ城・小白井で行ったが、周辺の伐採跡地にも展開していく。花崗岩以外の地質での検証データの取得を進めるため、八溝山地(中生代ジュラ紀の堆積岩)でデータを収集しているが、まだデータが足りないので追加して検証を継続する。特に、樹木密度と切株断面積和の推定の検証に重点を置く。また、切株直径と根系発達との相関が余り良くないので、現地調査で風化層の厚さと地形(尾根・谷、急傾斜・緩傾斜など)の情報をもっと集約し、地形・風化の情報を加味した直径と根系発達の関連性の構築を目指していく。また、今回の研究で得られたパラメータを用いて、実際に斜面崩壊の発生した斜面で崩壊前の航空レーザデータからリスク評価を行い、実際の崩壊結果との対応状況を検証する。 室内土層実験においては、混合型の配置の実験には至っておらず、配置による崩壊の違い、と言う点については今後の課題となる。また、樹種、雨量、傾斜という特徴を、崩壊危険性の評価で使用するためにどのように定量化するのか、と言う点も課題となる。 なお、これまでに国際写真測量学会、国際地図学会、国際地理学会等での発表を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で全く発表出来ていないので、オンラインも含めた国際学会での発表を実現させたいと考えている。
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